FDAが自家幹細胞移植非適応の多発性骨髄腫にダラツムマブを承認

2019年6月27日、米国食品医薬品局(FDA)は、自家幹細胞移植非適応の新規診断多発性骨髄腫患者に対して、ダラツムマブ(販売名:DARZALEX、Janssen Biotech,Inc.社)とレナリドミド+デキサメタゾンの併用を承認した。

本承認は、自家幹細胞移植非適応の新規診断多発性骨髄腫患者737人を対象に行われた非盲検、ランダム化(1対1)、第3相実薬対照試験であるMAIA試験(NCT02252172)に基づいている。本試験ではダラツムマブ(16 mg/kg)+レナリドミド+低用量デキサメタゾンの併用投与(DRd群)とレナリドミド+低用量デキサメタゾンの投与(Rd群)が比較された。

本試験において、DRd群はRd群と比較して、無増悪生存期間(PFS)の改善を示した。PFS中央値はDRd群では未到達であり、Rd群では31.9カ月であった(ハザード比[HR]0.56、95%信頼区間[CI]:0.43~0.73、p<0.0001)。奏効までの期間中央値は、DRd群では1.05カ月(範囲:0.2~12.1カ月)、Rd群では1.05カ月(範囲:0.3~15.3カ月)であった。奏効期間中央値はDRd群では未到達であり、Rd群では34.7カ月(95%CI:30.8~推定不能)であった。

ダラツムマブは、アナフィラキシー反応を含め、重症や重篤なインフュージョンリアクションを引き起こす可能性がある。試験に参加した全患者の約半数がインフュージョンリアクションを起こした。患者は、抗ヒスタミン剤、解熱剤、およびコルチコステロイドを事前に服用しておくべきである。注入中は頻繫に患者をモニタリングすることを推奨する。

ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用投与を受けた新規診断多発性骨髄腫患者において、最もよくみられた(≥20%)副作用はインフュージョンリアクション、下痢、便秘、悪心、末梢性浮腫、疲労、腰痛、無力症、発熱、上気道感染症、気管支炎、肺炎、食欲減退、筋痙攣、末梢感覚神経障害、呼吸困難、咳嗽であった。

ダラツムマブの推奨用量は16mg/kg実体重である。本併用療法で使用された薬剤の全処方情報および投与スケジュールはこちらを参照。

本申請にはリアルタイム腫瘍学審査を利用した。FDAは本申請を優先審査に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラムー医薬品およびバイオ医薬品(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 小畑オーエンズ

監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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