多発性骨髄腫に対する3種類の新薬を承認
米国国立がん研究所(NCI)/ブログ~がん研究の動向~
原文掲載日 :2016年1月6日
米国食品医薬品局(FDA)は、前治療後に再発した多発性骨髄腫に対する3種類の新薬を承認した。
11月6日、FDAはdaratumumab[ダラツムマブ](商品名Darzalex)を3種類以上の前治療を受けた患者を対象に承認した。そして、11月20日、ixazomib[イキサゾミブ](商品名Ninlaro)を1種類以上の前治療後再発した多発性骨髄腫患者を対象に承認、11月30日にはelotuzumab[エロツズマブ](商品名Empliciti)を1~3種類の前治療を受けた患者を対象に承認した。
米国がん研究所(NCI)がん研究センター、リンパ系腫瘍部門のMark Roschewski医師は説明した。「ほとんどの骨髄腫では再発がみられます。初回治療後、長期寛解を得られる患者もいますが、今日、治癒を得られる患者はほとんどいません」。
プロテアソーム阻害薬であるイキサゾミブは、722人の患者が参加した大規模ランダム化臨床試験において、イキサゾミブとレナリドミド+デキサメタゾンの併用群で、レナリドミド+デキサメタゾン併用群に比べて長い無増悪生存期間中央値を示した(20.6カ月対14.7カ月)という結果に基づいて承認された。
「多発性骨髄腫を適応としたプロテアソーム阻害薬はすでに2剤が承認されていますが(ボルテゾミブとカルフィルゾミブ)」、Roschewski医師は言った。「本剤は経口投与が可能な初めての薬剤ですのでこれは非常に重要な進化です」。
ダラツムマブは、2件の単一群試験に基づいて承認された。最初の試験では、対象患者群の29%において、完全または部分的な抗腫瘍効果が、中央値で7.4カ月間維持された。2番目の試験では、対象患者群の36%において完全または部分的な抗腫瘍効果がみられた。
エロツムマブは、前治療で奏効しなかった、または再発した骨髄腫患者646人が参加したランダム化臨床試験の結果に基づいて承認された。エロツムマブとレナリドミド+デキサメタゾンの併用群ではレナリドミド+デキサメタゾン併用群に比べて長い無増悪生存期間中央値を示した(19.4カ月対14.9カ月)。
「エロツムマブ自体は単剤では活性を有しません」、Roschewski医師は言及した。「しかし、他剤を併用することでエロツムマブは無増悪生存期間を延長させるのです」。
これらの薬剤で最もよくみられた副作用は、疲労、下痢、末梢神経障害、そして発熱であった。ダラツムマブでは白血球減少も起こす可能性がある。
エロツムマブとダラツムマブはいずれもモノクローナル抗体であり、この種のがんを対象としたほかのFDA承認治療薬では標的としていない骨髄腫細胞のタンパクを標的としている、とRoschewski医師は説明した。
「3剤のうち最も興味深いのが、単剤活性を示したダラツムマブです」、Roschewskiは言った。「本剤自体は多発性骨髄腫を治癒せず、寛解の持続期間は比較的短いのですが、特に患者がほかに治療選択肢を有さないような場合に、間違いなく有意義なベネフィットをもたらします」。
「これら3剤の新薬が新たな治療選択肢として組み込まれることで、検討しなければならない研究が新たに生まれることにもなるでしょう」、Roschewski医師は言った。
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