FDAが多発性骨髄腫の治療にダラツムマブ注射薬を承認

米国食品医薬品局(FDA) Oncology Approved Drug

2015年11月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、プロテアソーム阻害剤(PI)や免疫調節薬などを含む3種以上の治療歴がある多発性骨髄腫患者、ならびにPIおよび免疫調節薬の両方に対して抵抗性が認められる多発性骨髄腫患者に対する単剤治療薬として、ダラツムマブ[daratumumab]注射薬(商品名:Darzalex、ヤンセン・バイオテク社)を迅速承認した。

ダラツムマブは多発性骨髄腫の治療薬として承認された初めてのモノクローナル抗体である。ダラツムマブ単剤治療を行った再発または難治性の多発性骨髄腫患者106人の奏効率を評価した多施設非盲検試験の結果に基づき承認された。奏効率は、29%(95% CI:21-39%)、反応期間中央値は7.4カ月であった(範囲:1.2~13.1+カ月)。

安全性データは、推奨される用量および投与スケジュールでダラツムマブを投与した患者156人で評価された。最もよくみられた副作用(発生頻度20%以上)は、インフュージョン・リアクション、倦怠感、嘔気、腰痛、発熱、咳、上気道感染症などであった。インフュージョン・リアクションを予防するには、前投薬処置および点滴後の薬物療法が推奨される。最もよくみられた異常検査所見は、リンパ球減少、好中球減少、貧血、血小板減少であった。

ダラツムマブは血液バンクの交差試験、特に間接抗グロブリン試験の結果に影響する。輸血が必要な場合、患者がダラツムマブで治療を受けていることを輸血部に伝える必要がある。

今回の迅速承認の条件として、ヤンセン社は、ダラツムマブの臨床的有用性を検証し説明するため、本剤の標準治療に対する優位性を明確に示す多施設ランダム化試験を行うことが求められる。ヤンセン社は、無増悪生存期間を主要エンドポイントとした多発性骨髄腫患者での多施設ランダム化試験を複数進めている。

ダラツムマブの推奨用量および投与スケジュールは、まず16mg/kg(体重1㎏あたり16mg)を週1回のペースで8週間投与し、その後、2週に1回のペースで16週間投与するものである。以後、病状増悪までは4週間毎の投与とする。

ダラツムマブは処方薬ユーザー・フィー法(PDUFA)の目標期日である2016年3月9日に先行して承認された。今回の申請において、優先審査、画期的治療薬への指定、迅速承認が認められた。これらの優先プログラムに関する内容は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」に掲載され、下記のウェブサイトにて閲覧可能となっている。

http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf

詳細な添付文書は、下記ウェブサイトにて閲覧可能となっている。

http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2015/761036s000lbl.pdf

医療従事者は、医薬品または医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象はすべて、オンラインフォーム(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、FAX(1-800-FDA-0178)、オンラインに記載されている宛先へ郵便料金支払い済での郵送、または電話(1-800-FDA-1088)で、FDA内MedWatch報告システムに報告する必要がある。

翻訳担当者 佐々木亜衣子

監修 佐々木裕哉(血液内科・血液病理/久留米大学病院)

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