再発多発性骨髄腫患者に対し、カルフィルゾミブがボルテゾミブよりも優越性を示す
キャンサーコンサルタンツ
カルフィルゾミブ[carfilzomib](カイプロリス)と少量デキサメタゾンの併用と、ボルテゾミブ(ベルケイド)と少量デキサメタゾンの併用を直接比較した第3相臨床試験ENDEAVORの中間解析の結果、カルフィルゾミブ治療を受けた患者は病状が進行することなく生存期間が2倍になったことが示された。
多発性骨髄腫は形質細胞のがんで、形質細胞は身体の免疫システムの一部である白血球の特別な型である。米国では、約70,000人が多発性骨髄腫を抱えて生活しており、毎年約24,000人が新たに多発性骨髄腫と診断されている。多発性骨髄腫患者では、異常な形質細胞が増加し、機能を果たさない抗体が大量に生産され、それが血液や尿中から検出される。多発性骨髄腫患者がレナリドミド(レブラミド)およびボルテゾミブに対して不応性または抵抗性を示すようになると、治療選択肢は限定されてくる。こうした患者に標準的治療法はなく、たいていは予後不良である。
カルフィルゾミブはプロテアソーム阻害剤として知られる薬剤に分類される。プロテアソーム阻害剤にはがん細胞のタンパク質の分解を阻害し、がん細胞を死に至らしめる作用がある。
ENDEAVOR試験は、プロテアソーム阻害剤として確立され、現在、多発性骨髄腫の治療に承認されているボルテゾミブに対し、カルフィルゾミブを直接比較した臨床試験2つのうち最初の試験である。ランダム化ENDEAVOR試験(再発多発性骨髄腫患者を対象とした、カルフィルゾミブ+デキサメタゾン対ボルテゾミブ+デキサメタゾンのランダム化非盲検第3相臨床試験)では、1種類以上3種類以下の治療法を受けた後に多発性骨髄腫が再発した患者929人を対象として、カルフィルゾミブと少量デキサメタゾンの併用と、ボルテゾミブと少量デキサメタゾンの併用とを比較評価した。本試験は世界各地の235施設で実施された。
試験の結果、カルフィルゾミブによる治療を受けた再発多発性骨髄腫患者は、ボルテゾミブ治療患者と比較して、病状が進行することなく生存期間が2倍になったことが明らかになった。カルフィルゾミブ治療患者が平均18.7カ月生存したのに対し、ボルテゾミブ治療患者ではわずか9.4カ月であった。
カルフィルゾミブの併用については、全奏効率の増加と神経障害の減少も報告されていた。全生存に関するデータはまだ十分ではなく、経過観察中である。より確実なデータについては、5月下旬の2015年度米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で公表される予定である。
参考文献:
Amgen. 2015. Phase 3 Head-to-Head ENDEAVOR Study Demonstrates Superiority Of Kyprolis® (carfilzomib) Over Velcade® (bortezomib) In Patients With Relapsed Multiple Myeloma. Mar. 1.
c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。 |
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
骨髄腫に関連する記事
骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験
2024年11月4日
NPM1変異を有する骨髄腫瘍では骨髄芽球の割合との相関は認められない
2024年9月4日
【ASCO2024年次総会】多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン追加で進行・死亡リスク減
2024年8月8日
再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるか
2024年2月20日