NPM1変異を有する骨髄腫瘍では骨髄芽球の割合との相関は認められない

MDアンダーソンがんセンター

骨髄芽球が20%未満のNPM1変異陽性骨髄腫瘍はまれであり、その分類には一貫性がない。Guillermo Montalban Bravo医師が主導した新しい研究で、研究者らは、NPM1変異陽性骨髄性腫瘍で骨髄芽球が20%未満の患者と20%以上の患者54人の臨床病理学的特徴を比較評価した。両群とも、芽球の割合にかかわらず同様の特徴を有していたが、芽球が20%以上の患者ではIDH2およびFLT3の変異頻度が高かった。(NPM1変異陽性骨髄性腫瘍で骨髄芽球が20%未満の患者の中では)強力化学療法を受けた患者では、(低強度化学療法を受けた患者よりも)完全寛解率および全生存期間中央値がより高かった。幹細胞移植を受け低強度化学療法を受けた患者では生存期間の延長が認められた。これらの知見は、特定の遺伝子異常に基づく新たな疾患分類と、NPM1変異を有し、芽球が20%未満のこのまれな患者群における最適な治療選択に関する洞察を提供するものである。詳細はCancer誌を参照のこと。

MDアンダーソン研究ハイライト:2024/07/11特集
【特集:がんの発生と進化における発見、ユーイング肉腫、乳がん、肺がんの治療法の改善、新しい疾患分類】

テキサス大学 MD アンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、MD アンダーソンの専門家による最近の基礎研究、トランスレーショナル研究、臨床がん研究の概要を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者による、垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた研究へと発見がもたらされる。

MDアンダーソンにおける最近の進展は、代謝プログラミングと細胞老化を制御するメカニズムに関する洞察、ユーイング肉腫患者に対する新たな治療選択肢、肺がんにおけるRAS阻害薬の有効性を高める個別化治療戦略、BRCA関連乳がんに対する実行可能な治療選択肢としての乳房温存療法、抗腫瘍活性を損なうことなく重篤な免疫療法の副作用を軽減すること、骨髄性腫瘍の新たな疾患分類などである。

  • 監訳 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 翻訳担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2024/07/11

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