カーフィルゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾンは再発性多発性骨髄腫に持続的奏効

キャンサーコンサルタンツ

Blood誌に掲載された研究結果によると、カーフィルゾミブ(カイプロリス)、レナリドミド(レブラミド)および低用量デキサメタゾンの3剤併用による進行性の再発性多発性骨髄腫の治療は、忍容性が良好であり、持続的な奏効をもたらした。

多発性骨髄腫は、人体の免疫系の一部である白血球の一種である形質細胞の癌である。多発性骨髄腫患者の体内では、異常な形質細胞が増加し、機能不全となった抗体が多く形成されると考えられ、それらが血液中や尿中から検出される。レナリドミドに対し不応性、または治療抵抗性となった多発性骨髄腫患者は、通常予後が不良であり、全生存期間の中央値は9カ月である。

カーフィルゾミブはプロテアソーム阻害剤の一種であり、癌細胞のタンパク質の分解を阻害することにより、細胞死を引き起こす。カーフィルゾミブは点滴投与される。

研究者らは、進行性の再発性多発性骨髄腫患者52人に対して最大計画用量を投与した第2相拡大投与試験について報告した。最大計画用量は、1サイクルを28日とし、カーフィルゾミブは、1サイクル目の1日目と2日目に20mg/m²、それ以降は各サイクルの1、2、8、9、15、16日目に27mg/m²を投与、レナリドミドは各サイクルの1日目から21日目に25mg、デキサメタゾンは週1回40mg投与した。

追跡調査期間の中央値は24.4カ月であった。最大計画用量群における全奏効率は76.9%であった。奏効までの期間の中央値は0.95カ月で、奏効期間は22.1カ月であった。無増悪生存期間の中央値は15.4カ月であった。

ボルテゾミブに対し不応性の患者では、全奏効率が69.2%で、奏効期間の中央値は22.1カ月であった。レナリドミドに対し不応性の患者では、全奏効率は69.6%で、奏効期間の中央値は10.8カ月であった。

カーフィルゾミブの投与期間は中央値9.5サイクルであった。また、有害事象によりカーフィルゾミブの減量が必要であった患者は7.7%であり、3剤併用(CRdと称す)が中止されたのは19.2%であった。グレード3から4の有害事象は、リンパ球減少症、好中球減少症、血小板減少症および貧血であった。

最大計画用量のカーフィルゾミブ、レナリドミド、および低用量デキサメタゾン(CRd)は、確実かつ速やかに奏効して持続性があり、忍容性が良好であると研究者らは結論づけた。

参考文献:
Wang M, Martin T, Bensinger W, et al. Phase 2 dose-expansion study (PX-171-006) of carfilzomib, lenalidomide, and low-dose dexamethasone in relapsed or progressive multiple myeloma. Blood. 2013; 122(18):3122-3128.


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翻訳担当者 林 さやか

監修 吉原 哲(血液内科/コロンビア大学CCTI)

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