パノビノスタット+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの併用が多数の前治療歴を有する骨髄腫患者に有望

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Blood誌に掲載された第2相臨床試験の最終結果によると、試験薬パノビノスタット(Panobinosutat、LBH-589)+ボルテゾミブ(ベルケイド)+デキサメタゾンの併用療法が多数の前治療歴を有する多発性骨髄腫患者に有効であることがわかった。

多発性骨髄腫は、身体の免疫システムの構成要素である白血球の一つ、形質細胞の癌である。多発性骨髄腫患者では、異常な形質細胞数が増加し、血液中や尿中で検出される機能不全となった抗体量が増加する。レナリドミド(レブラミド)やボルテゾミブ(ベルケイド)に不応性(もしくは抵抗性)となった多発性骨髄腫患者では治療選択肢が限られる。このような患者に行う標準治療がないため、通常予後が不良となり、全生存期間中央値は9カ月である。

パノビノスタットは、細胞分裂を遅らせ、細胞死を引き起こすタンパク質の産生量を増やすことで作用するヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の一種であり、骨髄腫と同様に他の血液癌や固形腫瘍の分野でも研究されている。初期試験から、パノビノスタット+ボルテゾミブの併用療法の方がそれぞれの単剤治療よりも効果的に骨髄腫細胞を殺傷することがわかった。

PANORAMA 2試験は、再発性・ボルテゾミブ抵抗性の多発性骨髄腫患者に対して行われるパノビノスタット+ボルテゾミブの併用療法の第2相試験である。この試験は、多数の前治療歴を有する再発・難治性の多発性骨髄腫患者55人を対象として行われた。患者はこれまでに中間値で2種類のボルテゾミブベースレジメンによる治療を受けるなど、中間値で4種類の治療を受けていた。すべての患者は最後に受けたボルテゾミブベースレジメンによる治療に抵抗性を示し、82%がボルテゾミブ+デキサメタゾンの併用療法に抵抗性を示した。

パノビノスタットによる治療は2段階にわたって行われた。第1段階では、3週間を1サイクルとしてパノビノスタット+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの併用療法が8サイクル行われた。奏効または病勢安定が得られた患者は、6週間を1サイクルとしてパノビノスタット+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの併用療法が行われる第2段階へ移行した。患者は疾患が進行するまで、もしくは不耐性を示すまで治療を受けた。 

全体として、34.5%の患者が治療後に寬解となった。1人の患者では完全寬解に近い状態が得られ、18人の患者では部分寬解が、ほかには、18.2%(10人)に病勢安定が得られた。臨床的有用率は52.7%であった。寬解が得られるまでの期間は中央値で1.4カ月であり、奏効持続期間中央値は6カ月であった。

最も頻繁にみられた重篤な副作用には、血小板減少症(血小板数の減少)、倦怠感および下痢などがあった。1人の患者にのみグレード3の末梢神経障害がみられた。

研究者らは、パノビノスタット+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの併用療法によって多数の前治療歴を有するボルテゾミブ抵抗性の多発性骨髄腫患者に再度奏効が得られると結論づけた。

参考文献:
Richardson PG, Schlossman RL, Alsina M, et al. PANORAMA 2: panobinostat in combination with bortezomib and dexamethasone in patients with relapsed and bortezomib-refractory myeloma. Blood. 2013; 122(14):2331-2337.


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翻訳担当者 寺本瑞樹

監修 吉原 哲(血液内科/コロンビア大学CCTI)

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