FDAが再発/難治性多発性骨髄腫にタルケタマブを迅速承認

米国食品医薬品局(FDA)

2023 年 8 月 9 日、米国食品医薬品局(FDA)は、プロテアソーム阻害剤、免疫調整剤、および抗 CD38 モノクローナル抗体を含む 4 種類以上の治療歴のある再発または難治性の多発性骨髄腫の成人患者を対象に、タルケタマブ(talquetamab-tgvs)(販売名:Talvey、ヤンセン・バイオテック社)を迅速承認した。

有効性は、単群非盲検多施設共同試験であるMMY1001(MonumenTAL-1)(NCT03399799、NCT4634552)試験で評価され、4 種類以上の全身療法歴のある患者 187 例が組み入れられた。患者は、治療開始週に2回のステップアップ投与後タルケタマブ 0.4 mg/kgの週1回皮下投与、または、3回のステップアップ投与後タルケタマブ 0.8 mg/kgの隔週(2週ごと)皮下投与を、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで受けた。

主な有効性評価項目は、IMWG基準を用いて独立審査委員会が評価した奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)であった。主要有効性解析集団には、プロテアソーム阻害剤、免疫調整剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む4種類以上の治療歴のある患者が含まれた。0.4 mg/kgを週1回投与された100例のORRは73%(95%信頼区間(CI):63.2%、81.4%)、DOR中央値は9.5カ月(95%CI:6.5、推定不能)であった。0.8 mg/kgを隔週投与された87例のORRは73.6%(95%信頼区間:63%、82.4%)、DOR中央値は推定不能であった。奏効例の約85%が少なくとも9カ月間奏効を維持した。

タルケタマブの添付文書には枠囲み警告として、生命を脅かすまたは死亡のおそれがあるサイトカイン放出症候群(CRS)および免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)を含む神経毒性が含まれる。CRSおよびICANSを含む神経毒性のリスクがあるため、タルケタマブはTecvayli-Talvey REMSと呼ばれるREMS(Risk Evaluation and Mitigation Strategy:リスク評価・軽減戦略)の下、制限されたプログラムを通じてのみ入手可能である。

安全性解析集団に含まれる339人の患者で報告された主な副作用(20%以上)は、CRS、味覚異常、爪障害、筋骨格痛、皮膚障害、発疹、疲労、体重減少、口渇、発熱、乾皮症、嚥下障害、上気道感染、下痢であった。

タルケタマブの推奨用量は、0.4 mg/kgを週1回または0.8 mg/kgを隔週1回投与である。投与スケジュールは処方情報を参照のこと。

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  • 監訳  喜安 純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)
  • 翻訳担当者 後藤 若菜
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  • 原文掲載日 2023/08/09

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