ベルケイドは多発性骨髄腫の寛解導入療法および維持療法に有効
キャンサーコンサルタンツ
寛解導入療法時から維持療法にかけてベルケイド(ボルテゾミブ)を用いると、新たにステージIIまたはIIIの多発性骨髄腫と診断された患者の生存期間を改善するという研究結果がJournal of Clinical Oncology誌に発表された。
多発性骨髄腫は、生体の免疫系に関わる白血球の特殊型である形質細胞の癌である。多発性骨髄腫の患者では異常な形質細胞の数が増加し、その形質細胞は、血液中や尿中に検出される機能不全の抗体を多量に産生する。
ベルケイドは、プロテアソーム阻害剤として知られる分子標的薬のひとつで、多発性骨髄腫およびマントル細胞リンパ腫の治療に有効であることが示されている。
ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンを併用した化学療法(VAD)は、多発性骨髄腫患者において標準的寛解導入療法とされてきた。プロテアソーム阻害剤であるベルケイドによる治療が、再発・難治性の多発性骨髄腫患者において有意な効果を示したので、研究者らは、早期の多発性骨髄腫に対するこの治療法の評価を行った。
寛解導入療法時から維持療法にわたるベルケイドの継続的な使用について、ランダム化第3相臨床試験により評価した。この試験では、新たに症候性多発性骨髄腫と診断された827人をビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾン併用(VAD)群またはベルケイド、ドキソルビシンおよびデキサメタゾン併用(PAD)群に無作為に割り付け寛解導入療法を実施した後、高用量メルファラン投与および自家造血幹細胞移植を行った。維持療法として、VAD群の患者はサロミド®(サリドマイド)を1日1回、2年間服用し、PAD群の患者はベルケイドを2週毎に1回、2年間投与を受けた。
PADによる寛解導入療法を受けた患者の完全奏効割合は31%だったのに対し、VAD群の患者は15%であり、PAD群の方が優れていた。ベルケイドは、維持療法においても優れた完全奏効割合を示し、その値が49%であったのに対して、サロミド群では34%であった。追跡期間41カ月(中央値)の調査の結果、PAD群の無増悪生存期間(PFS)は35カ月であったのに対し、VAD群では28カ月であった。さらに、全生存期間もPAD群の方が長かった。
ベルケイドは、クレアチニン値が上昇しているハイリスクの患者において、PFSの中央値を13カ月から30カ月へ、また全生存期間の中央値を21カ月から54カ月へと有意に延長した。
研究者らは、ベルケイドを寛解導入期から維持療法にかけて用いることにより、完全奏効割合、無増悪生存期間および全生存期間を改善すると結論付けた。
参考文献:
Sonneveld P, Schmidt-Wolf IGH, van der Holt B, et al. Bortezomib Induction and maintenance treatment in patients with newly diagnosed multiple myeloma: Results of the randomized phase III HOVON-65/ GMMG-HD4 trial. Journal of Clinical Oncology. 2012; 30(24): 2946-2955.
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