レブリミド(lenalidomide)/再発した多発性骨髄腫に対するRevlimid(lenalidomide)+Dexamethasone(デキサメタゾン)は有望

キャンサーコンサルタンツ
2005年12月

Revlimid(lenalidomide)+Dexamethason(デキサメタゾン)対デキサメタゾン単独のMM-010第3相臨床試験研究に携わった研究者は、この新薬に対して有望な結果を報告した。この研究の詳細は、2005年12月11日、ジョージア州アトランタでの第47回血液学会(ASH)年次総会の本会議で報告された。

Revlimidはサリドマイドという、多発性骨髄腫治療に対して大変有効であるが、重大な副作用、特に血栓塞栓症がある薬剤の類似化合物である。Revlimidはサリドマイドよりも毒性が少ないながらも、抗骨髄腫効果を保持していると報告されている。

Revlimidは骨髄異形成症候群(MDS)治療に対する評価のためにFDAに最近、提出された。 Revlimidは、MDSに加え、他の血液癌に対する治療評価のために臨床試験中である。 Revlimidは癌細胞へ栄養素を運ぶ動脈と毛細血管の成長を抑制する。癌細胞への栄養素を奪うことは癌細胞の進行と成長を止める。

Revlimidと組み合わせたデキサメタゾンと、デキサメタゾン単独とを比較するため、Celgene社後援の2つの大きな臨床試験が最近行われた。

1つの試験(MM-009試験)は、難治性の多発性骨髄腫患者を含んだ、北アメリカで行われた試験である。患者のうち170名はRevlimid+デキサメタゾンで治療し、また、別の170名はデキサメタゾン単独で治療した。15カ月以上の追跡治療後、デキサメタゾン単独で治療した患者と比べ、Revlimid+デキサメタゾンで治療した患者グループでは、無進行期間と全抗癌奏効率が有意に改善された。寛解が観察されたのは、デキサメタゾン単独で治療した患者の22.9%に対し、Revlimid+デキサメタゾンで治療した患者では51.3%であった、。最後の治療追跡の時点では、平均無進行期間は、Revlimid+デキサメタゾンで治療した患者のグループでは未だ到達せず、デキサメタゾン単独で治療した患者では5ヵ月であった。

2つめの臨床試験(MM-010試験)は、再発または難治性の多発性骨髄腫患者におけるRevlimid+デキサメタゾンとデキサメタゾン単独とを比較するために国際間で行われ、351人の患者が含まれた。この試験結果はASHの会議でアップデートされた。 Revlimidは1回25mgで1日~21日に経口投与、1週間休薬で4サイクル繰り返しました。この研究では、34%の患者がサリドマイドを受けたことがあり、59%が自家幹細胞移殖後の進行再発であった。図1はこの試験の主な研究結果をまとめている。

図1:再発または難治性の多発性骨髄腫に対するRevlimid+デキサメタゾン対プラセボ+デキサメタゾンのランダム化試験

 Revlimid/デキサメタゾンプラセボ/デキサメタゾン
無進行期間(TTP)中央値11.3ヵ月4.7ヵ月
寛解者の無進行期間中央値未達10.0ヵ月
部分寛解42%20%
部分寛解15%3.5%
神経障害33% 
血小板減少症<5% 
深部静脈血栓症8% 
便秘まれ 

MM010研究の全生存データは提示されなかった。研究者はMM009とMM010研究のTTPに関しては曲線を組み合わせて提示し、結果は同一だった。また、研究者は両試験の開始後に、へパリンの投与無く血栓の発生を減らすと思われるアスピリンが加えられたと述べた。研究者はサリドマイドと比べるとRevlimidには優良な安全性があったと、結論づけた。

コメント:

これらの研究は再発した多発性骨髄腫の治療のためのRevlimidの優良な有効性を示唆し、また、より最近のデータは一次治療での有効性を示唆している。今まですべての研究は、サリドマイドと比べてRevlimidが毒性がより少ないと示唆している。

参考資料

 Dimopoulos MA, Spenser A, Attal M, et al. Study of lenalidomide plus dexamethas one versus dexamethasone alone in relapsed or refractory multiple myeloma (MM): results of a phase 3 study (MM010). Blood . 2005;106:106, Abstract 6.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 早川康道

監修 林 正樹(血液・腫瘍科) 

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

骨髄腫に関連する記事

骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験の画像

骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験

国立衛生研究所 (NIH) は、急性骨髄性白血病 (AML) および骨髄異形成症候群 (MDS) 患者の腫瘍細胞における特定の遺伝子変化を標的とした治療薬の新たな組み合わせに関して、概...
NPM1変異を有する骨髄腫瘍では骨髄芽球の割合との相関は認められないの画像

NPM1変異を有する骨髄腫瘍では骨髄芽球の割合との相関は認められない

MDアンダーソンがんセンター骨髄芽球が20%未満のNPM1変異陽性骨髄腫瘍はまれであり、その分類には一貫性がない。Guillermo Montalban Bravo医師が主導した新しい...
【ASCO2024年次総会】多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン追加で進行・死亡リスク減の画像

【ASCO2024年次総会】多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン追加で進行・死亡リスク減

ASCOの見解(引用)(原文6月2日)「DREAMM-8試験から、再発または難治性多発性骨髄腫患者において、ファーストインクラスのBCMA標的抗体薬物複合体であるベランタマブ ...
再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるかの画像

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるか

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「多発性骨髄腫は 血液腫瘍の中では2 番目に多くみられ、再発と寛解を繰り返すのが特徴です。ダラツムマブ(販売名:ダラキューロ)、...