ベルケイド(ボルテゾミブ)+メルファラン+プレドニゾンが移植対象外である多発性骨髄腫患者の生存率を改善

キャンサーコンサルタンツ
2008年1月

幹細胞移植対象外である多発性骨髄腫患者の生存率を、標準的なMP療法(メルファラン+プレドニゾン)と比較して、VMP療法(ベルケイド(ボルテゾミブ)+メルファラン+プレドニゾン)が改善すると、多国間VISTA試験に携わった研究者らが発表した。この無作為試験の詳細は、ジョージア州アトランタで12月に行われた2007年度米国血液学会で発表された。

ベルケイドは、プロテアソーム阻害薬として知られている新しいクラスの最初の抗癌剤で、難治性血液悪性腫瘍、特に多発性骨髄腫患者の治療として、臨床試験で評価が行われている。ベルケイド単剤は、約30%から40%の奏効率で、うち4-5%は完全奏効である。VAD (オンコビン(ビンクリスチン)+ドキソルビシン+プレドニゾン)による多発性骨髄腫のファーストライン治療の完全寛解率は10%以下なので、顕著な結果である。ベルケイドはサリドマイド、またはDoxil(ドキソルビシン)との併用で、有望な難治性骨髄腫の治療として評価が行われている。最近の試験で、多発性骨髄腫として診断直後の患者においてベルケイドが90%の奏効率を示すことが確認されている。

多発性骨髄腫患者として診断されたばかりの自家幹細胞移植対象外である600名以上の患者において、MMY-3002とも呼ばれているVISTA試験でVMP療法をMP療法と比較した。自家幹細胞移植の試験に参加した患者の中央年齢値が55歳から60歳であるのに比べて、この試験では71歳であるのが移植対象外の患者であることを反映している。下記の表はこの試験の主な結果の要約である。

VMP療法

MP療法

患者数

336

331

完全奏効率

30% (M蛋白質のみ-35%)

4%

部分奏効率

40%

31%

奏効期間

20ヶ月

13 ヶ月

完全奏効期間

24 ヶ月

13 ヶ月

進行までの時間

24 ヶ月

16.6ヶ月

死亡

45

76

生存中央値

未到達

未到達

2年全生存率

83%

70%

75歳以下における2年全生存率

84%

74%

75歳以上における2年全生存率

79%

60%

治療による死亡率

1%

2%

VMP治療はMP治療に比べて、生存を延長し、高い完全奏効率である、と著者らは結論付けた。VMP治療の忍容性は良好で、全予後サブグループにわたって、優れた結果を示した。治療中止の割合は両群で同じであった。

コメント

ベルケイドを追加することで、毒性の顕著な増加なく転帰が向上することをこれらの強固なデータは、明瞭に示している。

参考文献
San Miguel JF, Schlag R, Khuageva N, et al. MMY-3002” A phase 3 study comparing bortezomib-melphalan-prednisone (VMP) with melphalan-prednisone (MP) in newly diagnosed multiple myeloma. Blood. 2007;110:31a. Abstract 76.

  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 下和田 篤子

監修 林 正樹(血液・腫瘍医)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

骨髄腫に関連する記事

骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験の画像

骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験

国立衛生研究所 (NIH) は、急性骨髄性白血病 (AML) および骨髄異形成症候群 (MDS) 患者の腫瘍細胞における特定の遺伝子変化を標的とした治療薬の新たな組み合わせに関して、概...
NPM1変異を有する骨髄腫瘍では骨髄芽球の割合との相関は認められないの画像

NPM1変異を有する骨髄腫瘍では骨髄芽球の割合との相関は認められない

MDアンダーソンがんセンター骨髄芽球が20%未満のNPM1変異陽性骨髄腫瘍はまれであり、その分類には一貫性がない。Guillermo Montalban Bravo医師が主導した新しい...
【ASCO2024年次総会】多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン追加で進行・死亡リスク減の画像

【ASCO2024年次総会】多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン追加で進行・死亡リスク減

ASCOの見解(引用)(原文6月2日)「DREAMM-8試験から、再発または難治性多発性骨髄腫患者において、ファーストインクラスのBCMA標的抗体薬物複合体であるベランタマブ ...
再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるかの画像

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるか

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「多発性骨髄腫は 血液腫瘍の中では2 番目に多くみられ、再発と寛解を繰り返すのが特徴です。ダラツムマブ(販売名:ダラキューロ)、...