ポナチニブは新たに診断されたPh+白血病(ALL)に対してイマチニブより有効

ASCOエキスパートの見解

「今回の結果は、これまで予後不良とされてきた、悪性度の高い急性白血病であるPh+ALL(フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病)に対して、ポナチニブ+化学療法の併用が有効かつ安全であることを確認するものです。今後、ポナチニブと第2世代TKI(チロシンキナーゼ阻害薬)を比較する研究が進めば、この疾患の患者に最適なTKIがわかってくるでしょう。この疾患では、TKIと抗体療法を併用した化学療法不要のレジメンが活発に研究されています」。―ASCOの白血病エキスパート、Olatoyosi Odenike医師

新たに診断されたフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)患者において、ポナチニブ(販売名:アイクルシグ、大塚製薬)投与群は、強度減弱化学療法と併用した場合にイマチニブ(販売名:グリベック、ノバルティスファーマ)投与群よりも有効である。この結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズの2023年2月のセッションで発表される。

新たに診断されたPh+ALL患者に対する現在の標準治療としてBCR::ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)があるが、第1世代または第2世代のTKIで治療を受けた患者はしばしば耐性を獲得する。さらに、いかなるTKIも新規診断患者に対して承認されていない。PhALLCONは、このような患者において、第一選択薬としてのポナチニブ(第3世代TKI)+化学療法併用と、イマチニブ(第1世代TKI)+化学療法併用とを比較したはじめての直接比較試験である。

この第3相非盲検試験では、245人の成人患者が2対1の割合で、強度減弱化学療法併用下でポナチニブまたはイマチニブいずれかの投薬を受けるよう無作為に割り付けられた。データカットオフ時点で、78人の患者(ポナチニブ41%、イマチニブ12%)がまだ治療を受けていた。投薬中止の主な理由は、造血幹細胞移植(ポナチニブ30%、イマチニブ37%)、有害事象(12%、12%)、および有効性の欠如(7%、26%)であった。

主要評価項目は12週間の導入期間後の測定可能残存病変陰性化完全寛解、すなわち検出可能な病変量がないことであり、イマチニブ群と比較してポナチニブ群で有意に高かった(34.4% vs 16.7%;p=0.0021 )。無イベント生存率は、イマチニブで到達し、ポナチニブでは到達せず、実験群では改善傾向がみられた。有害事象と動脈閉塞性事象(動脈が狭くなること)は両治療群で同様だった。

筆頭著者であるElias Jabbour医師(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)は、「このように迅速で深い奏効が得られた患者に対する潜在的な効果が長期生存率にとって重要かもしれません」と述べた。「この試験結果は、ポナチニブが新たにPh+ALLと診断された患者の標準治療となる可能性を示唆しています」。


  • 監訳 東海林洋子(薬学博士)
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  • 原文掲載日 2023/02/14

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