緩和ケアで白血病(AML)患者のQOLが向上

進行した急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、がん治療の早期に緩和ケアを実施すること(IPC:integrated plliative care)により患者の生活の質、心的状態や終末期ケアが大きく改善したことが、研究チームによって明らかになった。

ハイリスクの急性骨髄性白血病(非常に悪性度の高い血液および骨髄の腫瘍)の腫瘍ケアに症状やストレスへの緩和ケアを早期に取り入れることの効果が、デューク大学医学部とマサチューセッツ総合病院(MGH)がんセンターの共同研究で示された。

「血液腫瘍患者を対象に、統合された緩和ケア(IPC)介入に関する多施設共同ランダム化試験が行われたのは、本研究が初めてです」と、12月17日JAMA Oncology誌オンライン版に掲載された研究の共同主執筆者であるThomas W. LeBlanc医師(デュークがん研究所腫瘍内科医、緩和ケア医)は述べた。

身体的、心理社会的、スピリチュアル(実存的)な悩みに対処することで苦痛の予防と緩和を図る緩和ケアは、血液腫瘍治療のため骨髄移植を受ける患者の生活の質を改善し、心理的ストレスを軽減することがわかっている。しかし、このケアはAMLの患者に対してあまり行われてはいない。

この試験では、進行したAMLを専門とする総合がんセンター4カ所で進行AML治療中の成人160人を、介入群と通常ケア群に無作為に割り付けた。

腫瘍学に統合された緩和ケア(IPC)の介入に割り付けられた患者らは、緩和ケア専門家と面会した。緩和ケア専門家は、各患者との関係構築、患者ニーズの評価、症状の治療、治療の目標と期待の理解、治療に関する意思決定支援に重点を置いた。

通常のケアに割り振られた患者は、腫瘍科チームから支援策を受けており、患者本人または担当腫瘍専門医から要望があれば緩和ケアを受けることが認められていた。通常のケアに割り振られた74人の患者のうち、病状の初期に緩和ケアを受けたのは6人だけであった。

IPCを受けた患者は、2週間経過時点で生活の質が著しく向上し、気分の落ち込み、不安、PTSDのレベルが低下したことを報告し、これらのすべての指標における緩和ケアの効果は24週目まで持続した。

死亡した患者のうち、IPC介入群患者では、望む終末期ケアについて医師と話し合ったことがある人が有意に多く、最期の数週間に化学療法を受けた例は有意に少なかった。終末期の化学療法は治癒的ではなく、生活の質を著しく損なうこともある副作用を伴う。

「腫瘍医がAML患者の緩和ケアを検討することはほとんどありませんが、これは早期の緩和ケアがこの患者集団で果たす役割についてエビデンスが不足していることが1つの要因です」とLeBlanc医師は述べている。「今回の研究は、AML患者に対するこの種のケアの効果を明確に示しています」

LeBlanc医師以外の研究著者は次のとおり。Areej El-Jawahri、Alison Kavanaugh、Jason A. Webb、Vicki Jackson、Toby Campbell, Nina O’Connor、Selina Luger、Ellin Gafford、Jillian Gustin、Bhavana Bhatnagar、Alison Walker、Amir Fathi、Andrew Brunner、Gabriela Hobbs、Hilena Addis、Dagny Vaughn、Nora Horick、Joseph A Greer and Jennifer S. Temel。

本研究はCambia Health FoundationのSojourns Scholars Leadership Program から一部資金援助を受けた。

翻訳担当者 白濱紀子

監修 佐藤恭子(緩和ケア内科/川崎市井田病院)

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