再発/難治性の芽球性形質細胞性樹状細胞腫瘍に、抗体薬物複合体IMGN632が有望
芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)において全奏効率29%、良好な安全性プロファイルを示す初期研究データ
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者主導による第1/2相試験で、CD123を標的とする新規抗体薬物複合体IMGN632は再発・難治性芽球性形質細胞性樹状細胞腫瘍(BPDCN)患者において忍容性があり、全奏効率29%を示す結果となった。BPDCNはまれで、悪性度の高い白血病である。タグラクソフスプ治療歴のあるBPDCN患者での全奏効率は31%であった。
Naveen Pemmaraju医師(白血病学准教授)は本日、米国血液学会2020年バーチャル年次総会にて、本試験の初期結果を発表した。
BPDCNは生存率が低い疾患として知られており、治療選択肢は限られている。BPDCNに対する最初の分子標的治療薬としてタグラクソフスプが2018年12月に承認されたのは、Pemmaraju氏が主導した別の研究に基づいている。しかし、患者に再発が生じたり、疾患が治療に反応しなくなると予後不良となる。
「再発または難治性BPDCN患者のニーズを緊急に満たす必要があることに変わりはありません。そのため、別の治療法を開発することは重要かつ必要なことです」とPemmaraju氏は述べる。「これまでのところIMGN632は、この注目すべき患者集団に対して、安全で良好な治療成績を有する新しい治療であることがわれわれの研究からわかっています」。
希少疾患に対する大規模な集団を対象とする研究
毎年500~1,000人の米国人がBPDCNに罹患すると推定される。成人患者28人が登録された、この多施設共同臨床試験は現在進行中であり、治療歴を有する再発/難治性BPDCN患者を対象とした試験としては、これまでで最大規模である。また、治療歴のないBPDCN患者1人も登録されている。本試験に参加した患者の大半(52%)は強度の高い化学療法による治療歴を有し、24%は同種造血幹細胞移植による治療歴を有していた。
13人の患者(45%)はタグラクソフスプの治療歴があり、この薬剤はBPDCNに発現するCD123マーカーも標的とする。抗体複合薬として、IMGN632は高親和性抗CD123抗体と新規DNAアルキル化ペイロードを組み合わせて作用する点で、タグラクソフスプとは機序が異なる。
BPDCNは高齢者に発症する傾向があり、新規診断患者の半数近くが70歳以上であり、患者の大半は男性である。本試験の人口構成は上述した疾患の特性を反映しており、試験参加者の76%が男性であり、年齢中央値は72歳(範囲19~82歳)であった。
IMGN632は忍容性がありBPDCN患者の3分の1に奏効する
再発/難治性患者28人のうち8人(29%)に客観的な奏効が確認され、その中の5人は完全寛解または臨床的完全寛解に達した。タグラクソフスプによる治療歴がある患者13人のうち4人(31%)がIMGN632に対して客観的奏効を示した。試験に参加した骨髄疾患を有する患者15人のうち9人(60%)においては骨髄芽球の消失(骨髄芽球 5%未満)が達成され、この9人中7人が全奏効を達成した。
IMGN632は3週間に1回静注投与され、外来投与が可能である。本薬剤の安全性プロファイルは良好であった。嘔気、末梢性浮腫および輸注関連反応が、治療に伴う有害事象として最も多く報告された。グレード3以上のイベントでは、血小板減少、発熱性好中球減少、高血糖(各10%)が最も多かった。毛細血管漏出症候群の症例報告はなく、治療関連死も発生しなかった。当初の知見に基づき、FDAは2020年10月、IMGN632を画期的治療薬に指定した。
「タグラクソフスプは、今のところBPDCNに対する治療薬として承認されている唯一の薬剤ですが、毛細血管漏出症候群という形で重篤な毒性を示す可能性もあります。したがって、これまでにわかっているIMGN632の良好な安全性データは、CD123に対する治療薬にとって良いニュースです」とPemmaraju氏は話す。「希少疾患に焦点を当てた臨床試験が行われることは、患者が有望な治療法を手に入れる機会を得ることであり、それ自体が有望な進展です。本試験への登録を継続していきながら、この臨床試験を治療歴のない患者さんにも展開していく予定です」。
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