FDAが数種の白血病とリンパ腫の検出試薬の製造販売を承認

米国食品医薬品局は本日、ClearLLab試薬(T1T2B1B2M)の製造販売を承認した。ClearLLab試薬は、慢性白血病、急性白血病、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)および骨髄増殖性腫瘍(MPN)など数種の白血病及びリンパ腫の検出を補助するフローサイトメトリー用試薬であり、この種の試薬としてはじめて承認を取得した。

「この承認は、血液学及び腫瘍学の分野で大きな前進を表しています」と、FDA医療機器・放射線保健センター、体外診断薬・放射線保健室(Office of In Vitro Diagnostics and Radiological Health)室長のAlberto Gutierrez医学博士は述べる。「検査室や医療従事者は今後、FDAが認めた試薬を使用して、これらの重大ながんの診断補助となる一貫した結果を得ることができます」。

米国国立がん研究所によると、白血病は、未熟な白血球に由来する血液のがんであり、白血病細胞が増殖して骨髄を占拠し、正常な血球の産生を阻害している。白血病は55歳以上の成人に発症することが多いが、15歳未満の小児でも最も多いがん種である。リンパ腫は、感染や病気からの生体防御を助ける働きがある免疫系の一部であるリンパ系の細胞に由来するがんである。

ClearLLab試薬を用いて、血液、骨髄およびリンパ節中のがん細胞を検出でき、白血病やリンパ腫の種類を特定する情報を得ることができる。本試薬には、細胞表面のタンパク質に蛍光色素を標識する働きがあり、これをフローサイトメトリーとよばれる装置でさらに分析する。

FDAは、ClearLLab試薬のデータに対して新規市販前審査を行った。この審査は、リスクが軽度から中等度の新規製品で、既に合法的に市販されている同等の製品がないものに対する承認審査である。ClearLLab試薬の承認は、別々の4医療施設から提供された279検体を用いた臨床試験で得られた試薬性能に基づいた。臨床試験は、本試薬の結果を各施設で使用されている検査法と比較するデザインであった。試験により、本試薬の結果と試験実施施設の最終判定との一致率は93.4%であり、がんの存在(がんによる異常)を84.2%の割合で正確に検出した。

本承認とともに、FDAは特別管理とよばれる基準を設定し、試薬の精度、信頼性および臨床的意義に対する当局の要件を明確にしている。この特別管理と一般管理にいずれも適合した場合には、白血病とリンパ腫の診断補助における ClearLLab試薬、ならびに同等の試薬の安全性および有効性が保証される。特別管理が設定されたことで、今後白血病とリンパ腫を対象として同様の診断薬を開発する企業に対して最小限必要とされる要件も明らかとなった。

本新規検査法を使用する際には、熟練した専門家が結果を評価すること。

FDA Beckman Coulter, Inc社のClearLLab試薬(T1T2B1B2およびM)を承認した。

翻訳担当者 石岡優子

監修 野﨑健司(血液・腫瘍内科/大阪大学大学院医学系研究科 )

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