FDAがFLT3遺伝子変異白血病(AML)にミドスタウリンを承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、FLT3と呼ばれる特定遺伝子変異を有する未治療の急性骨髄性白血病(AML)の成人患者を対象とし、化学療法との併用において、midostaurin[ミドスタウリン](商品名:Rydapt)を承認した。本剤は、AML患者のFLT3遺伝子変異の検出に使用されるコンパニオン診断検査、LeukoStrat CDx FLT3 Mutation Assayとの併用で承認となる。

急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄に発症し血液中の白血球数を増加させ、急速に進行する血液悪性腫瘍 である。米国国立がん研究所(NCI)の2016年度の推計では、約19,930人がAMLと診断され10,430人が同疾患で死亡すると予測された。

ミドスタウリンは、化学療法との併用でAML患者を治療する最初の標的治療薬です。診断薬を使用することで遺伝子変異を検出でき、医師はミドスタウリンの治療効果が期待できる特定の患者を同定できます」と、FDA医薬品評価研究センター血液・腫瘍製品室長代理兼、同局Oncology Center of Excellence室長のRichard Pazdur医師は述べた。

ミドスタウリンは、細胞増殖を促進するいくつかの酵素の働きを妨げることによって作用するキナーゼ阻害剤である。コンパニオン診断薬LeukoStrat CDx FLT3 変異Mutation Assayを使用し患者の血液または骨髄の検体からFLT3変異が検出された場合、同患者はミドスタウリン併用化学療法の適応である可能性がある

未治療のAML患者717人を対象としたランダム化試験において、ミドスタウリンの安全性および有効性の評価が行われた。本試験では具体的な生存率中央値に関して、信頼度の高い推定をすることができなかったが、ミドスタウリン併用化学療法受けた患者は化学療法のみを受けた患者よりも長期間生存した。さらに同試験において、ミドスタウリン併用化学療法を受けた患者では、化学療法単独患者よりも、ある種の合併症(治療開始60日以内に完全寛解に達しない、白血病の進行または死亡)を伴わずに治療を遂行できる期間が長かった(中央値8.2カ月対3カ月)。

ミドスタウリン投与を受けたAML患者によくみられる副作用には、発熱を伴う白血球値減少(発熱性好中球減少症)、悪心、粘膜炎症(粘膜炎)、嘔吐、頭痛、出血による皮膚上の斑点(点状出血)、筋骨格痛、鼻血(鼻出血)、医療機器に関連した感染、高血糖、および上気道感染症などがあげられる。同薬は、本剤または含有成分に過敏性を示す患者には使用すべきではない。成長中の胎児あるいは新生児には薬害を及ぼす恐れがあるため、妊娠中または授乳中の女性にミドスタウリンを投与してはならない。肺障害(肺毒性)の徴候または症状がある患者へのミドスタウリン投与は中止すること。

ミドスタウリンは本日、特定種類の希少血液疾患(侵襲性全身性肥満細胞症、関連造血器腫瘍を有する全身性肥満細胞症および肥満細胞白血病 )を有する成人患者の治療薬としても承認された。同疾患患者によくみられるミドスタウリンの副作用には、悪心、嘔吐、下痢、腫れ(浮腫)、筋骨格痛、腹痛、倦怠感、上気道感染、便秘、発熱、頭痛、息切れなどがある。

FDAは本申請に対し、優先審査優先承認審査薬指定(肥満細胞症に適用)および画期的治療AMLに適用)薬指定を認めていた。

FDAはノバルティス社に対しミドスタウリンを承認した。また同局は、Invitoscribe Technologies Inc社のLeukoStrat CDx FLT3 Mutation Assayについても承認した。

翻訳担当者 岐部幸子

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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