急性リンパ性白血病(ALL)にブリナツモマブは化学療法より有効
100以上の施設が参加した第3相ランダム化試験にて全生存期間の延長が示された
21カ国101施設が参加した第3相臨床試験において、進行急性リンパ性白血病(ALL)治療に対するモノクローナル抗体ブリナツモマブは、標準化学療法よりも効果的であることが明らかになった。本試験結果はNew England Journal of Medicineの電子版で3月1日に公開された。
テキサス大学MDアンダーソンがんセンター主導の本試験では、18歳以上の患者405人をブリナツモマブ投与群と化学療法群に無作為に割り付けた。全生存期間はブリナツモマブ投与群で有意に長く、生存期間中央値は7.7カ月であったのに対し、化学療法群では4カ月であった。治療開始後12週以内の寛解率はブリナツモマブ投与群で高く、報告された完全寛解率は34%であったが、化学療法群の完全寛解率は16%であった。さらに、本試験では、ブリナツモマブ投与群の副作用発現率が低かったことも示された。
新規診断ALLの予後は、強力な化学療法レジメンによりここ30年で改善し、85~90%の完全寛解率および30~50%の長期生存率が得られていた一方、最も好発する型の成人前駆B細胞ALL患者の多くは最終的に再発し、疾患の合併症により死亡する。標準と認められている治療は、寛解を長く維持し、最も効果的な治療法とされている同種、すなわちドナー由来の幹細胞移植を施行することである。
「再発した成人ALL患者の寛解率は標準療法では18~44%ですが、寛解持続期間は通常短いです。このような患者に対する治療の主目的は、寛解導入し、幹細胞移植の準備をするために必要な寛解期間を得ることです」と、Department of Leukemiaの教授かつNew England Journal of Medicineへの投稿論文の筆頭著者Hagop Kantarjian, M.D.は述べた。「本試験にて、各治療群の24%で同種幹細胞移植を施行しました」。
アムジェン社が開発したブリナツモマブは、特定の細胞障害性T細胞とB細胞を同時に結合させることで作用し、それによって患者の健康なT細胞が芽球と呼ばれるがん幹細胞を認識し排除できるようになる。
「T細胞の機能に依存するブリナツモマブ等の免疫療法により効果が得られることは、追加的な免疫活性化の戦略により、免疫による治療効果がさらに強められ、持続的になるかもしれないということを期待させる結果です」と、Kantarjian氏は述べた。
アムジェン社が計画し資金提供した本試験には、他の活動性がん患者、関連する中枢神経系疾患患者、自己免疫性疾患患者、急性または慢性移植片対宿主病患者、試験開始前の12週間以内に化学療法または放射線療法を受けた患者、試験開始の12週間以内にドナー由来の幹細胞移植または6週間以内に同種幹細胞移植を施行した患者は含まれていない。同様に、試験開始の1カ月以内に免疫療法を受けた患者または他の試験的治療を受けている患者も除外している。
この論文の著者には、以下の試験責任医師を含む;City of Hope National Medical Center, Duarte, Calif.; Amgen, Thousand Oaks, Calif. and Washington D.C.; Frankfurt am Main University Hospital Schleswig Holstein, Kiel, Germany; Mediziniche Klinik und Poliklinik II, Universitätsklinikums, Wurzburg, Germany; Princess Margaret Cancer Centre, Toronto; Hôpital Maisonneuve-Rosemont, Montreal; Universitat Autonoma de Barcelona and the University of Valencia, Spain; Alfred Hospital and Monash University, Melbourne, Australia; Hôpital Saint-Louis, Paris; Centre Hospitalier Lyon Sud, Pierre-Benite, France; Universitá Sapienza di Roma, Rome; Aziendo Unitá Locale Socio Sanitaria 12 Veneziana Ospedale Dell Angelo, Venice, Italy; Universitá Statale di Milano, Milan; Ankara Universitesi, Ankara, and Dokuz Eylul Universitesi Tip Facultesi, Izmir, both in Turkey; Instytut Hematologii i Transfuzjologii and Centrum Medcyzne Kształcenia Podyplomowego, Warsaw, Poland; and the University of Washington Medical Center, Seattle。
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