イノツズマブ・オゾガマイシンは、難治性再発性急性リンパ性白血病患者に有効

キャンサーコンサルタンツ

米国多施設臨床試験に参加している研究者らは、inotuzumab ozogamicin(イノツズマブ・オゾガマイシン)は、「難治性再発性の急性リンパ性白血病(ALL)患者にこれまで試された単剤の中で最も有効性の高いものであろう」と報告した。この試験の詳細は、2011年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された。

白血球が急速に増殖する癌であるALLは、小児で最もよく診断されるタイプの白血病である。米国では毎年約4000人が新たにALLと診断されている。小児ではほとんどの、成人ではかなりの割合のALL患者が、強化化学療法で治療できる。しかし、多くの患者は再発し、そのほとんどは最終的に進行して難治性(治療に抵抗性)になる。化学療法に反応する再発性ALL患者は、同種幹細胞移植の候補者であるが、難治性患者では良い効果は得られない。したがって、再発性難治性患者に対して新療法を開発するために集中的な研究が実施されている。

Inotuzumab ozogamaicin(イノツズマブ・オゾガマイシン)は、CD22を標的にするモノクロナール抗体から成り、calicheamicinと呼ばれる強力な細胞毒性薬剤と結合している。この薬剤は、数年前から白血病とリンパ腫の患者を対象に第1相および第2相臨床試験で試され、有望な結果が得られている。しかし、未だに研究段階にある。

今回の試験は、6~80才(中央値=35才)の難治性再発性患者40人を対象にした。全患者で、白血病細胞の50%以上にCD22が発現していた。

  • 完全寛解率は、50%であった。
  • 奏効を見た70%の人は、治療後6カ月目に生存していた。
  • 12人の患者は、その後同種幹細胞移植を受けることが可能であった。

これらの結果よりinotuzumab ozogamicin(イノツズマブ・オゾガマイシン)は、ALL患者の治療に対して非常に有用な薬剤であることが示唆される。進行度の低い患者を対象にした試験が、確実にまもなく実施される予定である。

参考文献:

E. Jabbour, S. M. O’Brien, D. A. Thomas et al. Inotuzumab ozogamicin (IO; CMC544), a CD22 monoclonal antibody attached to calicheamycin, produces complete response plus complete marrow response (mCR) of greater that 50% in refractory relapse (R-R) acute lymphoblastic leukemia. Journal of Clinical Oncology 29:2011 (supplement, abstract 6507).


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 森田 洋子

監修 金田 澄子(薬学)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

【ASH24】BCL-2阻害剤+BTK阻害剤は白血病(CLL)に有望の画像

【ASH24】BCL-2阻害剤+BTK阻害剤は白血病(CLL)に有望

新たな固定期間薬剤併用療法(3剤目の血液がん治療薬の有無にかかわらず、第2世代BTK阻害剤アカラブルチニブ{販売名:カルケンス}とBCL-2阻害剤[ベネトクラクス]{販売名:ベネクレル...
高リスク急性骨髄性白血病(AML)治療に関する新知見3演題の画像

高リスク急性骨髄性白血病(AML)治療に関する新知見3演題

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、急性骨髄性白血病(AML)患者の治療改善に役立つ新たな知見をもたらす3つの研究を主導している。研究チームは、2024年12月7日から10日までサン...
【米国血液学会(ASH24)特別版】ーMDアンダーソン研究ハイライトの画像

【米国血液学会(ASH24)特別版】ーMDアンダーソン研究ハイライト

MDS、白血病、リンパ腫の新しい治療法や研究成果、有望な長期試験データ、貧血克服のための潜在的標的を特集するテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの...
高リスク慢性リンパ性白血病に3剤併用AVO療法は有望の画像

高リスク慢性リンパ性白血病に3剤併用AVO療法は有望

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、特にTP53異常を持つ高リスク慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する治療における有望な進歩を発表した。これは、高リスクCLLにおける期間限定の3...