DasatinibのFDA承認

商品名:Sprycel
原文  2013/07/02更新

フィラデルフィア染色体陽性の慢性期慢性骨髄性白血病(CP-CML)

メシル酸イマチニブなど前治療に抵抗性を示すまたは不耐性を持つ慢性期(CP)慢性骨髄性白血病(CML)成人患者への投与に対する承認

前治療に抵抗性を示すまたは不耐性を持つ慢性骨髄性白血病 (CML)およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 (ALL)患者への投与に対する承認

薬剤警告の発令

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報Full prescribing informationが参照できます。

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フィラデルフィア染色体陽性の慢性期慢性骨髄性白血病(CP-CML)

2010年10月28日、FDAはフィラデルフィア染色体陽性の慢性期(CP)慢性骨髄白血病(CML)と新たに診断された成人患者の治療用として、経口キナーゼ阻害剤であるダサチニブ(スプリセル,Sprycel:Bristol-Myers Squibb社)を迅速承認しました。推奨用量は100mg1日1回で経口投与します。スプリセルはもともと2006年6月に、メシル酸イマチニブ(イマチニブ)を含むそれまでの治療に抵抗性または不耐容を示すCP-CML成人患者への治療用として承認されました。

新たにCP-CMLと診断された成人における有効性と安全性は、単一の無作為化活性対照非盲検多国籍臨床試験によって評価されました。合計519人の患者が無作為化され、100mg1日1回のダサチニブ(n=259)または400mg1日1回のイマチニブ(n=260)による治療を受けました。主要評価項目は、確実な(confirmed)細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)率の12カ月後までの比較とし、少なくとも28日間を空けての診断が、いずれもCCyRである場合をconfirmed CCyRと定義しました。2つ目の評価項目は、分子遺伝学的奏効(MMR)の率とし、末梢血のBCR-ABL比がRQ-PCRの国際基準値の単位で0.1%以下であることとしました。

主要評価項目の、12カ月後までにconfirmed CCyRと診断されたのは、ダサチニブによる治療を受けた患者のうちの199人(76.8%)と、イマチニブによる治療を受けた患者のうちの172人(66.2%)でした(p=0.007)。MMRについても、ダサチニブによる治療を受けた患者での率(52.1%)が、イマチニブによる治療を受けた患者での率(33.8%)よりも高い結果となりました(p<0.0001)。

少なくとも1つの副作用を経験した患者の率を比較すると、ダサチニブでは71%であり、イマチニブでは78%でした。グレード3と4の副作用の全発生率は、ダサチニブでは7.8%、イマチニブでは7.0%でした。ダサチニブによる治療を受けた患者において、イマチニブによる治療を受けた患者よりも多く見られた主な副作用は、貧血、咳、呼吸困難、頭痛、好中球減少症、胸水および血小板減少症でした。

(朝井 鈴佳 訳・ 林 正樹(血液・腫瘍内科)監修 )

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メシル酸イマチニブなど前治療に抵抗性を示すまたは不耐性を持つ慢性期(CP)慢性骨髄性白血病(CML)成人患者への投与に対する承認

2007年11月8日、FDAはこれまでに受けたメシル酸イマチニブなどの治療に抵抗性を示すまたは不耐容の慢性期(CP)慢性骨髄性白血病(CML)成人患者の治療用としてダサチニブの新しい用量を迅速承認しました。

新しい用量は、100mg1日1回を経口投与します。2006年6月にFDAは、メシル酸イマチニブなどの治療に抵抗性を示すまたは不耐容の慢性期、移行期、骨髄性急性転化期またはリンパ性急性転化期のCML成人患者の治療用としてダサチニブを迅速承認しました。また、同2006年6月に、FDAはフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病患者の治療用としてもダサチニブを通常承認しました。2006年承認時の推奨用量は70mg1日2回でした。

無作為化2×2非盲検試験において、CPCML患者を対象としたダサチニブの4つの投与法の安全性と有効性を評価しました。ダサチニブを100mg1日1回、140mg1日1回、50mg1日2回または70mg1日2回を投与しました。重大な心疾患患者は対象から外し、合計670例の患者が無作為化されました。主要評価項目は細胞遺伝学的大寛解(MCyR)とし、Ph+造血細胞の消滅またはかなりの量が減少(65%以上)と定義されました。

主解析において、100mg1日1回投与法(MCyR=53%、95%CI:44%~62%)と70mg1日2回投与法(MCyR=51%、95%CI:42%~60%)における有効性は同等であることを示していました。

安全性解析においては、以前承認された70mg1日2回の投与法と比較して、100mg1日1回の投与法では副作用が減少したことが明らかになりました。これら副作用には、すべてのグレードの体液貯留(24%vs32%)、すべてのグレードの胸水(10%vs18%)、および好中球減少(34%vs43%)、血小板減少(22%vs38%)、貧血(10%vs17%)などのグレード3と4の血液学的毒性がありました。

現在行われている試験の追跡調査データを追加提出することで、今回の迅速承認が通常承認に切り替えられます。

(舛田理恵 訳・ 林 正樹(血液・腫瘍内科)監修 )

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前治療に抵抗性を示すまたは不耐性を持つ慢性骨髄性白血病 (CML)およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 (ALL)患者への投与に対する承認

2006年6月28日、FDAは、これまで受けたメシル酸イマチニブ(グリベック®)などの治療に抵抗性を示すまたは不耐性を持つ慢性期(CP)、移行期(AP)、骨髄性急性転化期(MB)またはリンパ性急性転化期(LB)の慢性骨髄性白血病(CML)成人の患者の治療用としてダサチニブ[dasatinib](Sprycel™:Bristol-Myers Squibb社)を迅速承認しました。現在進行中の試験の追加追跡データ申請により、今回の迅速承認が通常の承認へ切り替えられます。

さらに、FDAは、以前受けた治療に抵抗性を示すまたは忍容性のない成人のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の成人患者の治療用としてダサチニブに通常の承認を与えました。

有効性は4つの単一治療群の臨床試験で示されています。合計445例の患者が70 mg1日2回を開始用量とするダサチニブの治療を受けました。初診から奏効までの期間の中央値は、CP患者64か月、AP患者91か月、MB患者49か月で、LB患者28か月、Ph+ALL患者20か月でした。

対象となった患者の多くは前治療を受けています。前治療には、イマチニブ、化学療法、インターフェロン、ヒドロキシウレアやアナグレライドおよび骨髄移植が含まれます。イマチニブは、治療抵抗性のため82%の患者で、また、薬物に忍容性がないために18%の患者で中止されています。イマチニブの最大用量は、患者の約50%が1日400mgから600mgで、残りの患者は1日600mg以上でした。

CP試験の有効性主要評価項目はPh+造血細胞が消滅または、かなりの量(65%以上)が減少すると定義される細胞遺伝学的効果としました。CP患者の細胞遺伝学的奏効率は45%(95%CI:37%、52%)でした。

AP、MB、およびLB/Ph+ALL試験の主要評価項目は血液学的効果でした。主に血液学的効果は、血液学的完全奏効か白血病の兆候なしのいずれかと定義されています。血液学的奏効率はAPで59%(95% CI:49%、68%)、MBで32%(95% CI:22%、44%)、LBで31%(95%CI:18%、47%)およびPh+ ALLで42%(95%CI:26%、59%)でした。

申請のための中間評価時には、CP、AP、MB期の患者の奏効期間の中央値は、奏効した殆どの患者が奏効を維持したため、算出できませんでした。LB患者での奏効期間の中央値は、3.7カ月(95%CI:2.79、上限に達せず)Ph+ALL患者で4.8カ月(95%CI:2.89、上限に達せず)でした。

安全性を確認した対象患者には、911例のCMLおよびPh+ALL患者が含まれています。消化器系の副作用(下痢、吐き気、腹痛および嘔吐)全身的な副作用(発熱、頭痛、倦怠感、無力症および食欲不振)が最もよく見られる副作用です。体液うっ滞が、患者の50%にみられ、最もよく見られた副作用には、表在性浮腫(36%)、胸膜滲出(22%)などでした。出血が全体の患者の40%にみられ、患者の14%が消化管出血を経験しています。

血液毒性は最も多くみられたグレード3/4の副作用でした。好中球減少および血小板減少症が患者の約48~83%に、貧血は18~70%に見られました。CP患者には、これらの副作用がCMLまたはPh+ALL患者ほど多く見られませんでした。

その他多いグレード3/4の副作用には、出血(10%)、体液うっ滞(9%)、発熱性好中球減少(8%)、呼吸困難(6%)、発熱(5%)、胸膜滲出(5%)および下痢が含まれます。患者の1%にグレード3/4のCNS出血がありました。6例の患者に致命的なCNS出血が見られました。

(ポメラニアン 訳・瀬戸山修 監修 )

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薬剤警告の発令

2011年10月11日、FDAは、ダサチニブによって稀ですが重篤な症状のリスクが上昇する可能性を医療従事者に警告しました。この症状では肺動脈圧が異常高値を示します(肺動脈性肺高血圧症[PAH])。PAHの症状には、息切れ、疲労および浮腫み(足首や脚など)があります。報告された症例では、患者はダサチニブ治療開始後に、開始後1年以上経過した場合も含め、PAHを発現しました。

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寺本瑞樹 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科)監修 
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

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