ベンダムスチン、リツキシマブとイデラリシブの併用療法が慢性リンパ性白血病(CLL)に有望

キャンサーコンサルタンツ

独立データモニタリング委員会(DMC)による推奨を受け、ギリアド・サイエンシズ社は本日、治療歴のある慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する標準治療に追加したイデラリシブ[idelalisib](商品名:Zydeli)を評価する第3相試験を早期に非盲検とすることを発表した。DMCの推奨は、ベンダムスチン(トレアンダ)+リツキシマブ(リツキサン)投与患者との比較による、ベンダムスチン+リツキシマブ+イデラリシブ併用投与患者のベネフィットを示した中間解析に基づいている。本研究の詳細な結果は、12月5~8日フロリダ州オーランドの米国血液学会(ASH)年次総会で発表される。

慢性リンパ性白血病(CLL)は、米国で毎年15,000人以上が新たに発病し、ほぼ5,000人が死亡している、最も多くみられる成人白血病である。CLLは急速に増殖するがんではないが、異常細胞が血液、骨髄、リンパ節および脾臓中に蓄積し、これらの臓器の増大 ならびに骨髄機能および免疫機能の低下をもたらす。米国食品医薬品局(FDA)は近年、オビヌツズマブ[obinutuzumab(Gazyva)]、イブルチニブ[ibrutinib(Imbruvica)]、オファツムマブ(アーゼラ)およびイデラリシブなど、CLLに対する新たな治療選択肢となる薬剤数種を承認してきた。研究者らは、CLLと診断された人々の転帰を改善させるため、薬剤の最善の使用方法の評価を今後も継続する。

イデラリシブは、免疫系の重要な要素であるB細胞の活性化、増殖および生存能力向上の役割を果たすタンパク質であるホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)デルタの経口阻害剤である。PI3Kデルタシグナル伝達は、多くのB細胞白血病およびリンパ腫において活発である。 イデラリシブは、上記タンパク質を阻害することにより、B細胞生存性を促進する複数の細胞シグナル伝達経路を阻害する。

ASHで発表される本研究結果は、前治療歴のあるCLL成人患者416人を対象として、ベンダムスチン+リツキシマブ投与にイデラリシブを追加した場合の安全性および効果を直接比較するようにデザインされた比較試験によるものである。

参考文献:
Zelenetz A, Robak T, Coiffier B, et al. LBA-5 Idelalisib plus bendamustine and rituxumab (BR) is superior to BR alone in patients with relapsed/refractory chronic lymphocytic leukemia: results of a phase 3 randomized double-blind placebo-controlled study.[Abstract] ASH 57th Annual Meeting & Exposition, Orlando FL, December 5-8, 2015. https://ash.confex.com/ash/2015/webprogram/Paper87420.html


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 太田奈津美

監修 北尾章人(血液・腫瘍内科/神戸大学大学院医学研究科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

【ASH24】BCL-2阻害剤+BTK阻害剤は白血病(CLL)に有望の画像

【ASH24】BCL-2阻害剤+BTK阻害剤は白血病(CLL)に有望

新たな固定期間薬剤併用療法(3剤目の血液がん治療薬の有無にかかわらず、第2世代BTK阻害剤アカラブルチニブ{販売名:カルケンス}とBCL-2阻害剤[ベネトクラクス]{販売名:ベネクレル...
高リスクの急性骨髄性白血病(AML)治療に関する新知見3演題の画像

高リスクの急性骨髄性白血病(AML)治療に関する新知見3演題

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、急性骨髄性白血病(AML)患者の治療改善に役立つ新たな知見をもたらす3つの研究を主導している。研究チームは、2024年12月7日から10日までサン...
【米国血液学会(ASH24)特別版】ーMDアンダーソン研究ハイライトの画像

【米国血液学会(ASH24)特別版】ーMDアンダーソン研究ハイライト

MDS、白血病、リンパ腫の新しい治療法や研究成果、有望な長期試験データ、貧血克服のための潜在的標的を特集するテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの...
高リスク慢性リンパ性白血病に3剤併用AVO療法は有望の画像

高リスク慢性リンパ性白血病に3剤併用AVO療法は有望

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、特にTP53異常を持つ高リスク慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する治療における有望な進歩を発表した。これは、高リスクCLLにおける期間限定の3...