CD19を標的とするCAR T細胞が再発性・難治性急性リンパ性白血病の治療に有用

キャンサーコンサルタンツ

CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞の使用は、小児および成人の再発性・難治性の急性リンパ性白血病(ALL)患者の持続的寛解をもたらすとの研究結果が近刊の New England Journal of Medicine誌に掲載された。

急性リンパ性白血病(ALL)は、急速に成長する白血球のがんである。成人の再発性・難治性ALL患者は予後不良であり、寛解に達する患者はわずか35~40%で、全生存期間の中央値は4~6カ月である。再発性ALLの治療としては現在、幹細胞移植があり、ここ最近はブリナツモマブ[blinatumomab]投与も行われている。

抗CD19 CAR T細胞療法は、患者のT細胞遺伝子改変により、B細胞性のリンパ腫ならびに白血病の細胞表面に発現したタンパク質CD19を標的とするよう設計されたCARを発現させる。

この臨床試験は、ペンシルベニア大学病院において小児および成人の再発性または難治性ALL患者30人にCAR T細胞を投与して行われた。30人の患者のうち、26人は再発B細胞性ALL、3人は初回治療抵抗性B細胞性ALL、1人はCD19抗原が発現している再発T細胞性ALLであった。

ALLの完全寛解は患者の90%で達成され、2~24カ月の経過観察で、患者19人に持続的寛解がみられ、15人は追加治療が不要となった。

CAR T細胞の主な副作用はサイトカイン放出症候群で、27%の患者が集中的な管理およびサポートを要すると報告された。サイトカイン放出症候群は、通常、輸液の翌日から発症することが確認されているCAR T細胞の副作用である。

研究者らは、再発性ならびに難治性ALL治療において、CAR T細胞は幹細胞移植が奏効しなかった患者も含めて有効であり、最長24カ月の長期寛解を確認したと結論づけた。

参考文献:

1. Maude S, Frey N, Shaw P, et al. Chimeric Antigen Receptor T Cells for Sustained Remissions in Leukemia. N Engl J Med. 2014; 371:1507-1517.
2. Topp MS, Goekbuget N, Zugmaier G, et al. Anti-CD19 BiTE blinatumomab induces high complete remission rate and prolongs overall survival in adult patients with relapsed/refractory B-precursor acute lymphoblastic leukemia (ALL). Blood (ASH Annual Meeting Abstracts) 2012; 120: Abstract 670.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 太田奈津美

監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験の画像

骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験

国立衛生研究所 (NIH) は、急性骨髄性白血病 (AML) および骨髄異形成症候群 (MDS) 患者の腫瘍細胞における特定の遺伝子変化を標的とした治療薬の新たな組み合わせに関して、概...
再発/難治性の若年性骨髄単球性白血病にトラメチニブが有望の画像

再発/難治性の若年性骨髄単球性白血病にトラメチニブが有望

MEK阻害薬トラメチニブ(販売名:​​メキニスト)は、第2相臨床試験に登録された再発または難治性の若年性骨髄単球性白血病(JMML)の小児患者に有効な治療薬であり、10人中7人が中央値...
白血病(B-ALL)に新規CAR-T細胞療法obe-celが有望:ASCOの画像

白血病(B-ALL)に新規CAR-T細胞療法obe-celが有望:ASCO

MDアンダーソンがんセンター特集:臨床試験の結果で新たな治療法が一部の患者にとって幹細胞移植や長期治療の必要性を減らす可能性を示唆アブストラクト:6504、 6507テ...
白血病(AML)の併用療法でベネトクラクス投与期間を短縮しても効果は同等:ASCOの画像

白血病(AML)の併用療法でベネトクラクス投与期間を短縮しても効果は同等:ASCO

MDアンダーソンがんセンター特集:臨床試験の結果、新たな治療法が一部の患者にとって幹細胞移植や長期治療の必要性を減らす可能性を示唆アブストラクト:6504、 6507テ...