【ASH24】BCL-2阻害剤+BTK阻害剤は白血病(CLL)に有望
新たな固定期間薬剤併用療法(3剤目の血液がん治療薬の有無にかかわらず、第2世代BTK阻害剤アカラブルチニブ{販売名:カルケンス}とBCL-2阻害剤[ベネトクラクス]{販売名:ベネクレルスタ}を併用)が慢性リンパ性白血病(CLL)患者に深く持続的な反応を示すことを、ダナファーバーがん研究所の研究者Jennifer Brown医学博士が第66回米国血液学会(ASH)年次総会および展示会において試験研究者を代表して報告した。
この研究結果は、北米、南米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアの27カ国の患者が参加したAMPLIFYと呼ばれる第3相国際登録試験の計画された中間解析から得られたものである。
「これは、BTK阻害剤とBCL-2阻害剤の初めての併用で、米国のFDAが承認すると期待されます。」と、この試験を主導し、ASHで結果を発表するBrown医学博士は述べた。「私たちは、この中間結果で確認された有効性と、CLL患者に対する潜在的な影響に非常に勇気づけられています」。
同医学博士はさらに、「効果的で忍容性が高い、すべて経口投与で行う固定期間治療は、患者にとって簡単で、治療中断も可能なため、非常に有意義な前進となるでしょう。つまり、毒性が低く、耐性の可能性が低く、生活の質が向上するということです。」と付け加えた。
CLLは一般的に治癒が難しい慢性疾患であるが、多くの場合、多くの年数を経れば治療とコントロールが可能である。現在の治療選択肢には、分子標的療法がいくつか含まれており、これらは非常に効果的であることが多いが、いくつか重大な欠点もある。たとえば、BTK阻害剤の単剤による治療は継続的に行われるため、患者は残りの人生、または病気が進行するまで服用する必要がある。病気が進行すると、患者は耐性を獲得し、薬の効果がなくなる。別の標的薬であるベネトクラクスは、BCL-2の活性を阻害し、CD20タンパク質に対する抗体であるオビヌツズマブ[販売名:ガザイバ]と併用される。この治療は投与期間が限定されているが、オビヌツズマブはクリニックで点滴として投与されるため、患者は治療を受けるために定期的に通院する必要がある。
2019年に開始されたAMPLIFY試験では、CLL患者を対象に14カ月にわたって投与される2つの初回治療レジメンの有効性と安全性を評価する。2つのレジメンとは、第2世代BTK阻害剤アカラブルチニブとベネトクラクスの併用(AV)と、同じ薬剤ペアと3つ目の薬剤オビヌツズマブの併用(AVO)である。これら2つの治療法(AVとAVO)について、標準的な化学免疫療法(フルダラビン-シクロホスファミド-リツキシマブまたはベンダムスチン-リツキシマブ)と比較する。
合計867人の患者が研究対象となり、平均年齢は61歳であった。患者は3つの治療群にランダムに割り付けられ、40カ月以上にわたって追跡された。17番染色体の欠失やTP53 遺伝子の変異など、最もリスクの高い遺伝子変異を持つ患者は、標準的な化学免疫療法からなる対照群がこれらの患者にとって効果的な治療選択肢ではないため、試験から除外された。
この中間解析から、AMPLIFY試験は主要評価項目を達成した。主要評価項目は、標準的な化学免疫療法を受けた患者と比較して、AVで治療された患者の方が無増悪生存率(PFS)が高いというものである。3群の推定36カ月PFSは、AV群で76.5%、AVO群で83.1%、標準治療群で66.5%である。
さらに、AVとAVOの両方の試験群の全体的な奏効率は92%を超え、標準治療群の全体的な奏効率は75%であった。AV療法は忍容性が非常に高く、対照群と比較して全体的な生存率も向上した。
「私たちは、これらの結果と、これらの新しい薬剤の組み合わせのこれまでの有効性に非常に興奮しています。」とBrown医学博士は語った。「AVとAVOの比較は計画されていませんでした。無増悪生存率のデータはAVOの方が有利に見えますが、それは毒性の増大と定期的な点滴の不便さとのバランスを取る必要があります」。
さらに、研究者らは、測定可能残存病変(MRD)陰性化の割合も調査した。これは、顕微鏡では検出できないが、より感度の高い検出方法を使用すれば測定できるがん細胞(「残存した」)病変をどれだけ根絶できたかを示す指標である。こうしたMRDが重要なのは、残存するがん細胞は数が少ないにもかかわらず、がんの再発を促進すると考えられているためである。
AMPLIFY研究データでは、AV薬剤の組み合わせを受けた試験患者におけるMRD陰性化の割合は約40%であり、これは他の同様の薬剤の組み合わせによる治療後に見られる割合と同等である。ただし、AVOを受けた患者では、MRD陰性化の割合が非常に高く、約95%であった。
この研究の資金はアストラゼネカ社から提供された。
- 監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
- 記事担当者 仲里芳子
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- 原文掲載日 2024/12/08
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