白血病で免疫細胞療法後に高い寛解率

米国国立がん研究所(NCI)ニュースノート

原文掲載日 :2014年10月12日

 化学療法抵抗性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)を有する小児および若年成人患者において、実験的な免疫療法を使用した治療後に高い寛解率が得られた。化学療法抵抗性白血病の小児および若年成人患者は、寛解が得られない場合に転帰が著しく不良となるため、この初期臨床試験の知見は重要である。2014年、米国においてこの種の癌の診断件数は6,000件超になると推定され、半数以上が小児と若年成人(1~30歳)に発症している。今回の米国国立癌研究所(NCI)小児腫瘍科長Crystal L. Mackall医師が主導する進行中の臨床試験結果によって、この免疫療法による治療には患者への抗白血病効果が認められ、実行可能で安全な治療であることが証明された。この知見の結果は、2014年10月13日付のLancet誌で発表された。

 遺伝子操作によって、患者のT細胞を再プログラムし、表面上に特定の標的タンパク質を有する細胞を認識、死滅させることが可能である。CD19タンパク質は、正常か癌性かは問わず、ほぼすべてのB細胞の表面上に発現しており、この方法により有効な標的であることが示された。本試験により、小児および若年成人のB細胞ALLの治療抵抗症例においてCD19を標的とした改変T細胞を使用した場合、強力な抗白血病効果をもたらすことが証明された。この治療法では、患者からT細胞を採取し、表面上にCD19を有する細胞を認識、攻撃するよう改変する。改変されたT細胞は、CD19キメラ型抗原受容体(CD19-CAR) T細胞として知られる。これら化学療法抵抗性ALL若年患者はしばしば末期であり、急速に進行することから、医師らはわずか11日間でT細胞を採取、培養する手法を開発した。本臨床試験の目的は、この治療法の実行可能性の評価、毒性の判定、患者が忍容可能な改変T細胞の最高用量の定義であった。2012年7月から2014年6月の間、試験登録患者21人(1~30歳)を対象に、標準的な化学療法薬(フルダラビンとシクロホスファミド)投与後に、CD19-CAR T細胞を投与した。21人中19人にプロトコル規定用量のCD19-CAR T細胞を投与した。登録患者21人中14人で完全寛解が認められ、12人では治療完了時に高感度技術を用いても白血病の徴候は検出されなかった。この治療に関連した最も頻度の高い副作用は、発熱であった。

原文

翻訳担当者 前田愛美

監修 吉原哲(血液内科/コロンビア大学CCTI)

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