米国血液学会ASH2024:3剤併用療法は複数の白血病で高い奏効率を示す他

3件の臨床試験で測定可能残存病変の陰性化および全奏効率に関する良好な結果が得られた

抄録:216、219、1011
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導した3件の臨床試験で、再発または難治性、および新規診断の白血病の治療における新しい3剤併用療法の有意かつ良好な結果が示された。この結果は、第66回米国血液学会(ASH)年次総会および展示会で発表された。MDアンダーソンのASH年次総会に関するすべてのコンテンツの詳細については、MDAnderson.org/ASHを参照のこと。

新規メニン阻害剤を含む3剤併用療法による強力な全奏効率が試験で示される(抄録216) 

メニン阻害剤のレブメニブ、DNAメチル化阻害剤のASTX727、およびベネトクラックスの併用により、KMT2AまたはNUP98再構成を伴う再発または難治性の進行性急性骨髄性白血病(AML)の成人および小児患者33人で、82%の全奏効率が達成された。これは、白血病専門准教授のGhayas Issa医師が主導した第1/2相SAVE試験の結果によるものである。 

これらのすべてが経口薬による治療により、患者の48%が完全寛解または部分的な血液学的回復を伴う完全寛解を達成した。患者2名は幹細胞移植を受けた後、維持療法を完了し、寛解状態を維持している。測定可能残存病変(MRD)陰性率は、NUP98r再構成を持つ患者で最も低かった。追跡期間の中央値は9.3カ月、6カ月の全生存率は68%、奏効期間の中央値には到達しなかった。

Issa医師は、「この治療法の組み合わせで著明な臨床的利益と有効性が示されたことから、患者は改善された治療の選択肢を得られます。これは、これらの遺伝子再構成を伴う急性白血病の治療にとって大きな前進です」と述べた。

レブメニブは、メニン-KMT2A相互作用の強力な経口選択的阻害剤である。11月に、米国食品医薬品局(FDA)は、Issa医師が主導したAUGMENT-101臨床試験の結果に基づき、KMT2A再構成を伴う再発または難治性の進行性急性白血病の成人および小児患者の治療に対する単剤療法としてレブメニブを承認した。

現在までに、年齢中央値35歳の患者33人がSAVE試験に登録されている。この試験には小児患者5人も含まれている。試験参加者は平均して3ラインの前治療を受けていた。全患者のうち、16人がKMT2A再構成、12人がNPM1変異、5人がNUP98再構成、5人が髄外病変を有していた。

副作用はコントロール可能であり、以前の研究と一致していた。患者が特に多く経験した副作用は、心電図モニタリングにおけるQT間隔の延長と肝酵素の上昇であった。

Issa医師は12月7日に最新の結果を発表した。治験責任医師主導試験は現在も継続中で、患者の登録が続いている。この試験はアステックス社とシンダックス社から支援を受けた。共著者の一覧とその公表内容は抄録に記載されている。

IDH-1変異AMLを標的とした3剤併用療法が長期追跡で強力な奏効を示す(抄録219

急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍などの新たに診断された、または再発/難治性のIDH1変異血液悪性腫瘍の患者56人を対象とした第1b/2相試験では、イボシデニブ、ベネトクラックス、アザシチジンの3剤併用療法を行ったところ、全奏効率が94%、複合完全寛解率が93%であった。

この試験は、白血病専門教授のCourtney DiNardo医師が主導し、臨床血液学/腫瘍学フェローのJennifer Marvin-Peek医師が発表した。

3年生存率は70.5%で、幹細胞移植を受けた患者の3年生存率は94.7%であった。幹細胞移植を受けなかった試験参加者のうち、47%が現在も試験治療を受けている。フローサイトメトリーによる測定可能残存病変(MRD)陰性化は、患者の77%で達成された。追跡期間の中央値は36カ月で、データカットオフ時点では全生存期間の中央値には達していない。

Marvin-Peek医師は、「この3剤併用療法は安全かつ忍容性も高く、試験に参加した患者に素晴らしい奏効率をもたらしました。これまでのところ、この3剤併用療法は、AMLのこのサブタイプを治療するための標準治療の選択肢として位置づけられる結果となっています」と述べた。

これまでの研究では、イボシデニブとアザシチジンの併用がIDH1変異AMLに対する有効かつ忍容性の高い治療であることが確認されている。追加の臨床試験で、ベネトクラックスとアザシチジンが同疾患の治療に有効であることが判明した。そのため、研究者らは、長期的な患者の転帰をさらに改善するために、この3剤併用療法を研究することとした。

この多施設共同試験には、新たに診断されたAML(31人)、再発/難治性AML(13人)、または骨髄異形成症候群および骨髄増殖性腫瘍(12人)の成人患者56人が参加した。参加者の年齢中央値は69歳であった。患者は中央値で4サイクルの治療を受けたが、3剤併用療法を40サイクル以上受けた患者もいた。

副作用は、これらの薬剤の以前の研究で観察されたものと一致しており、支持療法でコントロール可能であった。特に多くみられた有害事象は、血球数減少と消化管の副作用であった。患者4人では分化症候群もみられた。

Marvin-Peek医師は12月7日に最新の研究結果を発表した。この試験はセルヴィエ社とアッヴィ/ジェネンテック社の両社から支援を受けた。共著者の一覧とその公表内容は抄録に記載されている。

CLLに対する初回治療の3剤併用療法では、測定可能残存病変の陰性化率が高まる(抄録1011

非共有結合型BTK阻害剤のピルトブルチニブ、CD20モノクローナル抗体のオビヌツズマブ、BCL2阻害剤のベネトクラックスを組み合わせた3剤併用療法では、治療歴のない慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、測定可能残存病変(MRD)の陰性化率が高かったことが、白血病専門教授のNitin Jain医師が発表した第2相試験の結果で明らかになった。

13サイクル後、評価可能な患者41人中、10-4の感度(リンパ球10,000個あたりCLL細胞1個未満を示す)において、MRD陰性化率は骨髄で98%、血液で100%であった。より感度の高い閾値10-6での対応するMRD陰性化率は、骨髄で80%、血液で85%であった。

Jain医師は、「患者に対する最先端の3剤併用療法の結果に非常に感銘を受けました。CLL患者でこれまで見た中で最も深い寛解が得られたからです。現在、治療を受けずに定期的な血液MRD検査で経過観察している患者が数名います」と述べた。

本試験には、年齢中央値63歳の成人患者80人が登録された。試験参加者のうち、79%が免疫グロブリン重鎖の変異のないCLL患者で、13%がdel(17p)/TP53変異患者であった。試験の一環として、画像診断と骨髄検査によって反応をモニタリングした。MRDは、7サイクル目と13サイクル目後に血液と骨髄の両方で次世代シーケンシングによって評価した。治療終了後、1年間は3カ月ごとに、その後は6カ月ごとに血液MRDですべての患者をモニタリングする。

特に多くみられたグレード3~4の副作用は好中球減少症と血小板減少症であり、これは以前の試験と一致していた。

Jain医師は12月9日に最新の研究結果を発表した。この試験はイーライリリー社から支援を受けた。共著者の一覧とその公表内容は抄録に記載されている。

  • 監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)
  • 記事担当者 仲里芳子
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  • 原文掲載日 2024/12/09

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