米FDAが新たに診断された慢性骨髄性白血病(CML)にアシミニブを迅速承認
2024年10月29日、米国食品医薬品局(FDA)は、慢性期(CP)のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML)と新たに診断された成人患者を対象に、アシミニブ(販売名:セムブリックス)を迅速承認した。
セムブリックスの全処方情報は、Drugs@FDAに掲載される。
有効性および安全性
新たに診断された慢性期(CP)のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML)に対するアシミニブの有効性は、多施設共同ランダム化実薬対照非盲検試験であるASC4FIRST(NCT04971226)で評価された。合計405人の患者が、アシミニブまたは治験担当医師が選択したチロシンキナーゼ阻害薬(IS-TKI)(イマチニブ[販売名:グリベック]、ニロチニブ[販売名:タシグナ]、ダサチニブ[販売名:スプリセル]、またはボスチニブ[販売名:ボシュリフ])のいずれかを投与する群に無作為に割り付けられた(1:1)。主要評価項目は48週時点の分子遺伝学的大寛解(MMR)率であった。48週時点のMMR率はアシミニブ群で68%(95%CI:61、74)、IS-TKI群で49%(95%CI:42、56)であった(差19%[95%CI:10、28]、p値<0.001)。比較対象がイマチニブであった群では、MMR率はアシミニブ群で69%(95%CI:59、78)、イマチニブ群で40%(95%CI:31、50)であった(差30%[95%CI:17、42]、p値<0.001)。
新規診断および治療歴のある慢性期(CP)のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML)患者を対象としたプールされた安全性集団において、よくみられた副作用(≧20%)は、筋骨格痛、発疹、疲労、上気道感染、頭痛、腹痛、および下痢であった。新たにCPのPh+ CMLと診断された患者によくみられた臨床検査値異常(≧40%)は、リンパ球数減少、白血球数減少、血小板数減少、好中球数減少、カルシウム補正値減少であった。
アシミニブの推奨用量は、80mgを1日1回ほぼ同じ時間帯に経口投与するか、40mgを1日2回、約12時間間隔で経口投与する。
この審査は、FDAオンコロジーセンターオブエクセレンスの新たな枠組みであるプロジェクトOrbisの下で行われた。プロジェクトOrbisは、国際的なパートナー間でがん治療薬の申請と審査を同時に行うための枠組みを提供するものである。今回の審査では、FDAはカナダ保健省(HC)およびスイスのSwissmedic社(SMC)と協力した。他の規制当局では申請審査が進行中である。
迅速承認プログラム
この審査では、臨床申請全体の提出前にデータ提出を合理化するReal-Time Oncology Review(RTOR)パイロットプログラムと、FDAの評価を容易にするために申請者が任意で提出するAssessment Aidが使用された。FDAはこの申請をFDAの目標日より1カ月早く承認した。
本申請は優先審査、画期的治療薬、希少疾病用医薬品の指定を受けた。FDAの迅速プログラムは、「企業向けガイダンス: 重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。
医療従事者は、医薬品および医療機器の使用に関連すると疑われるすべての重篤な有害事象を、FDAのMedWatch報告システムまたは1-800-FDA-1088に報告してください。
がん領域の治験薬の単一患者INDに関する支援については、医療関係者はOCEのProject Facilitate(電話:240-402-0004、Eメール:OncProjectFacilitate@fda.hhs.gov)に連絡することができる。
- 監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
- 記事担当者 青山真佐枝
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- 原文掲載日 2024/10/29
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