イブルチニブは難治性、再発性慢性リンパ性白血病(CLL)患者の疾患の進行を有意に遅らせ、生存期間を延長する

 <治療が困難な一般的な4癌種に対する有望な分子標的薬(ASCO2014)> 折畳記事

*概要には抄録にない最新のデータが含まれます。

第3相RESONATE試験の初期の結果によると、イブルチニブは、慢性リンパ性白血病(CLL) の再発 患者において、標準療法のオファツムマブと比較してより長期の抗腫瘍効果を示し生存期間の延長に大きく寄与した。

再発CLLで、経口薬が標準療法以上に生存期間を改善させたのははじめてである。

本治療は患者に忍容性の観点からも問題なく、重篤な副作用をほとんど示さなかったことも同様に重要であった。

CLLは成人で最も多くみられる白血病である。CLLに対する標準的な治療は、強力な化学療法とリツキシマブなどの抗体薬を併用する化学免疫療法である。

しかし、CLL患者の大部分を占める高齢患者はしばしばこの強力な化学療法には耐えられない。

オファツムマブはそのような患者に対する代替選択肢であるが、この強力な化学療法に比べ、有効性が非常に低いことが研究により示されている。

イブルチニブを用いたところ、80%の患者が1年後の時点でも寛解状態であり、 これは 標準療法で寛解が期待される期間の2倍でした。本研究における追跡期間は短いですが、データから、このようなCLLの再発という状況 において他の治療を行う前にイブルチニブを使用することを間違いなく裏づけています」と、オハイオ州、コロンバス、オハイオ州立大学総合がんセンターの教授であり、研究の筆頭著者であるJohn Byrd医師は述べた。

イブルチニブFDAの迅速審査プロセスを通って、第1相臨床試験の開始後5年以内である今年2月にCLLの治療を適用としてFDAに承認された。

本研究では、以前に2つ以上の治療を受けた後に進行がみられた再発性または難治性のCLL、あるいは松林パ球性リンパ腫(CLLサブタイプの一種)患者391人がオファツムマブまたはイブルチニブの治療に無作為に割り付けられた。

患者の年齢の中央値は67歳で、40%は70歳以上であった。

追跡期間中央値である9.4カ月時点で、イブルチニブ群の奏効率はオファツマブ群と比較して顕著に高かった(42%対4%)

イブルチニブの治療を受けた患者のさらに20%はリンパ球(白血球の一種)の持続的な増加状態を伴いながらも部分寛解を示した。

イブルチニブはオファツムマブと比較し、病状進行リスクの80%の減少と、死亡リスクの57%の減少と関連した。無増悪生存期間と全生存期間は中央値に達していない。

イブルチニブはリスクが非常に高い2つの患者群(17p欠損およびプリンアナログ耐性患者)でも同様に高い有効性を示した

これらの顕著な結果に基づき、オファツムマブ群患者はイブルチニブ群へのクロスオーバーの機会が与えられ、患者の追跡は続けられた。

研究者によると、全生存期間の中央値は数年になると期待されている。

全体として、イブルチニブとオファツムマブの両者で良好な忍容性が認められた。ibrutinib群では下痢、小出血、心房細動が多く見られ、オファツムマブ群では末梢神経障害が多く見られた。

本研究により、第2相試験において提起された腎障害に関する懸念が軽減された。

本研究はPharmacyclics社より資金提供を受けた。

 ASCOの見解:
「再発性または難治性CLL患者に対する第3相試験により、経口薬であるイブルチニブが著しい有効性と良好な忍容性を示すことが確認されました。これらの結果は高齢患者を含む慢性リンパ性白血病患者へ、力強い治療選択肢を提供し、治療法を大きく変えるでしょう」とASCOのエキスパートであるOlatoyosi Odenike医師は述べた。

ASCO抄録全文参照:http://abstsearch.asco.org/index_wait.html

翻訳担当者 下野龍太郎

監修 佐々木裕哉(血液内科、血液病理/久留米大学病院)

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