白血病(B-ALL)に新規CAR-T細胞療法obe-celが有望:ASCO
MDアンダーソンがんセンター
特集:臨床試験の結果で新たな治療法が一部の患者にとって幹細胞移植や長期治療の必要性を減らす可能性を示唆
アブストラクト:6504、 6507
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、本日、2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、2つの試験から得られた良好な臨床結果を発表した。この研究結果は、高い寛解率と奏効率を示し、高齢患者や化学療法が不適格な患者における再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および急性骨髄性白血病(AML)の治療選択肢を改善するための知見を提供するものである。
再発・難治性の成人B-ALL患者に新規CAR-T細胞療法obe-celが高い寛解率をもたらす(アブストラクト 6504)
新規の抗CD19自己キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であるobecabtagene autoleucel(obe-cel)は、再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)患者の40%において、その後に幹細胞移植(stem cell transplant: SCT)を行うことなく持続的寛解を達成したことが、5月31日に白血病学教授であるElias Jabbour医師が発表した第1B/2相FELIX臨床試験の結果によって明らかになった。
追跡期間中央値21.5カ月の時点で、これらの患者は幹細胞移植や他の治療を受けることなく寛解状態が継続していた。12カ月無病生存率(EFS)は49.5%、全生存率(OS)は61%であった。
患者の18%はobe-cel投与後に、測定可能な残存病変を認めない状態で幹細胞移植(SCT)を受けた。これらの患者のうち55%は移植前にCAR-T細胞が持続的に存在していた。SCTまでの期間中央値は治療後101日であった。
無病生存率(EFS)と 12 カ月 EFS 率の中央値は、幹細胞移植(SCT) を受けた患者と受けなかった患者で同じであり、全生存率 についても同様の結果が観察された。この結果は、SCTがこれらの患者に付加価値を提供せず、obe-celが単独治療として考慮される可能性を示唆している、とJabbour氏は説明した。
「CAR-T細胞の持続とB細胞無形成の持続が、obe-cel治療を受けた患者の無病生存期間の改善と関連していることが分かりました」とJabbour氏は述べた。「これらの結果は、生存曲線の長期的なプラトーの可能性を示しており、現在治療選択肢が限られている再発または難治性の成人B-ALL患者に対する標準治療としてこの治療法が検討されることを支持するものです」。B細胞無形成は、抗CD19 CAR-T細胞がCD19発現Bリンパ球を死滅させ、患者のB細胞数が極端に減少することで発生する。
この非盲検、多施設共同、単群試験では、再発または難治性の成人B-ALL患者127人にobe-celが投与された。試験参加者はリンパ球除去を受けた。これはCAR-T細胞治療のための白紙状態を作るために既存のT細胞を死滅させる重要なステップである。その後、obe-celを1日目と10日目に分割投与した。副作用はこれまでの試験と一致しており、新たな副作用は確認されなかった。
本研究は、Autolus Therapeutics 社の資金提供を受けた。共同研究著者と開示情報の一覧は、こちら。
- 監訳 吉原哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
- 翻訳担当者 青山真佐枝
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- 原文掲載日 2024/05/31
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