白血病(AML)の併用療法でベネトクラクス投与期間を短縮しても効果は同等:ASCO

MDアンダーソンがんセンター

特集:臨床試験の結果、新たな治療法が一部の患者にとって幹細胞移植や長期治療の必要性を減らす可能性を示唆

アブストラクト:6504、 6507

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、本日、2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、2つの試験から得られた良好な臨床結果を発表した。この研究結果は、高い寛解率と奏効率を示し、高齢患者や化学療法が不適格な患者における再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および急性骨髄性白血病(AML)の治療選択肢を改善するための知見を提供するものである。

急性骨髄性白血病における奏効率は、ベネトクラクスの投与期間を短縮しても同等(アブストラクト 6507

新たに急性骨髄性白血病(AML)と診断された高齢患者や化学療法不適格の患者に対するアザシチジン(販売名:ビダーザ)との併用におけるベネトクラクス(販売名:ベネクレクスタ)の7日間投与は、標準的な28日間投与と比較して同等の寛解率を示し忍容性も高かった。この多施設共同後ろ向き解析の結果は、白血病学助教のAlexandre Bazinet医師により5月31日に発表された。

両群の複合完全寛解率は72%であり、全生存期間(OS)中央値は投与期間の短い群で11.2カ月、長い群で10.1カ月であった。興味深いことに、高リスク変異のない患者では標準用量でのOSがより長く、ベネトクラクス投与に対する反応性がより良好な、より "感受性 "の高い白血病であることが示唆された。さらに、8週死亡率は28日間投与群のほうが7日間投与群より有意に高く、それぞれ16%対6%であった。

「今回の知見から、急性骨髄性白血病治療におけるベネトクラクスの投与期間を短縮することで、奏効率を損なうことなく副作用を軽減し、患者さんの治療に対する忍容性を改善できる可能性が示唆されました」とBazinet氏は述べた。「高齢の患者さんは、副作用を経験しやすく、重篤な合併症のリスクを高める内科的な問題を抱えていることが多いです。このような患者さんにも同様の寛解率と生存率をもたらす治療法を特定することが重要です」。

研究者らは後ろ向き解析で、より短い7日間のベネトクラクス投与を受けた患者82人のデータを、現在推奨されている28日間投与の患者166人のデータと比較した。7日間投与では標準投与に比べて反応が遅く、最初の効果が得られるのに1サイクル以上を要することが多かった。しかし、ほとんどの患者はサイクルを追加することにより最終的に奏効が得られ、複合完全寛解率は両群間で同等となった。

7日間投与を受けた患者では、血小板輸血の必要性が有意に低く、早期死亡率が低いことが認められ、投与期間が短い方が忍容性が高いことが示唆された。

この研究は、高齢患者や化学療法が不適格な患者を治療するためにMDアンダーソンの研究者らが開発している3剤併用療法において、ベネトクラクスのより短期間投与を支持するものである。
共同著者の全リストとその開示情報は、こちらの要約でご覧いただけます。

  • 監訳 吉原哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
  • 翻訳担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2024/05/31

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