【ASCO2024年次総会】アシミニブは新規診断白血病(CML)の治療選択肢として有望

ASCOの見解(引用)

「アシミニブ(販売名:セムブリックス)は、現在の標準治療である分子標的治療薬と比較して優れた有効性を示し、有害事象、投薬の中断および中止が少なく、安全性プロファイルは良好であった。アシミニブの有効性と忍容性の優れた組み合わせは、現行の一次治療と比較して、慢性骨髄性白血病患者の治療選択肢となる可能性がある。」 - Oreofe O. Odejide医師、公衆衛生学修士(マサチューセッツ州ボストン、ダナファーバーがん研究所)

研究要旨

目的新たに診断された慢性期慢性骨髄性白血病(CML)
対象者最近診断された慢性期CML患者405人
主な結果アシミニブは、既存のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)療法と比較して、より安全で有効な治療法である可能性があり、最近診断された慢性期CML患者に対する一次治療の選択肢となりうる。
意義米国では2024年に約9,280人がCMLと診断されると米国がん協会は推定している。
近年の科学的進歩とTKI療法の開発により、CMLの5年相対生存率は1970年代半ばに診断された患者の22%から、2012年~2018年に診断された患者の70%へと3倍以上に上昇した。
TKI療法によく反応するCML患者もいるが、ほぼ半数の患者は薬剤耐性や忍容困難のために最終的に治療法を変更する必要がある。ほとんどの患者は何年も、場合によっては生涯にわたってTKI療法を続ける必要がある。このことは、安全性と忍容性を損なうことなく、有効性の高い治療法が必要であることを明確に示している。
アシミニブはSTAMP(Specifically Target the ABL Myristoyl Pocket:ABLミリストイルポケットを特異的に標的とする)薬に分類される最初の阻害剤であり、高活性でありながら特異性が高く、副作用や毒性を最小限に抑えるように設計された。

新たな研究により、アシミニブは、新たに診断された慢性骨髄性白血病(CML)患者にとって、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による現在の標準治療と比較して、より安全で効果的な治療選択肢となる可能性があることが明らかになった。本研究は、5月31日から6月4日までイリノイ州シカゴで開催される2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される予定である。

研究について

第3相ASC4FIRST臨床試験では、アシミニブを慢性期CMLの現在の標準治療であるTKI療法と比較した。最近診断された慢性期CML患者405人が、アシミニブを投与する群(201人)と治験担当医師が選択したTKIを投与する群(204人)に無作為に割り付けられた。TKI群では102人がイマチニブ、102人がより強力な第2世代TKIを投与された。治験担当医師は患者の全身状態や患者の希望に基づいてTKIを選択した。一般的に、他に健康上の懸念のない若年患者は、より強力な薬剤に耐えることができるため、第2世代TKIによる治療を受けた。

参加者の年齢の中央値は52歳で、65%が男性であった。参加者の約54%は白人で、44%はアジア人であった。本試験では29カ国のがんセンターで患者が登録された。

主な知見

  • 2023年11月28日現在、アシミニブ投与群の86%、イマチニブ投与群の62%、第2世代TKI投与群の75%で治療が継続中である。
  • 48週間後、アシミニブ群では68%の患者で分子遺伝学的大奏効が得られたのに対し、TKI群(イマチニブと第2世代TKIの両方を含む)では49%であった。
  • 分子遺伝学的に深い奏効は、アシミニブ群では39%に認められたのに対し、TKI群では21%であった。分子遺伝学的に深い奏効を示した患者は最終的に寛解とみなされ、治療を中止することができる。
  • サブセット解析では、イマチニブ投与に選択されたがアシミニブに無作為に割り付けられた患者をイマチニブ群と比較し、第2世代TKI投与に選択されたがアシミニブに無作為に割り付けられた患者100人を第2世代TKI群と比較した。イマチニブ群では40%の患者が分子遺伝学的大奏効を達成したのに対し、対応するアシミニブサブセットでは69%であった。第2世代TKI群では、58%の患者が分子遺伝学的大奏効に達したのに対し、対応するアシミニブサブセットでは66%であった。

ほとんどの有害事象はTKI群と比較してアシミニブ群で少なかった。アシミニブ群の主な有害事象は、血小板数の低下(13%)と好中球減少(10%)であった。アシミニブは投与中止率が低く、用量調節や投与中断率も低かった。投与中止の最も多い理由は治療に不応であったか、望ましくない副作用のためであった。最後に、TKIの重度の副作用である血栓は、アシミニブを服用した患者の1%に認められたのみであった。

「このランダム化試験により、アシミニブは、新たに診断された慢性期CML患者で使用可能なすべてのTKIと比較して、統計学的に優れた有効性を示しました。重要なのは、アシミニブは安全性と忍容性も優れていたことです。この有効性と安全性の組み合わせにより、より多くの患者がCML治療の最終目標である無治療寛解を達成できる可能性があります」と、筆頭著者で、オーストラリアの南オーストラリア保健医療研究所およびアデレード大学のTimothy Hughes医師は述べた。

次のステップ

研究者らは、アシミニブの長期安全性プロファイルを理解し、分子遺伝学的大奏効に早期に到達することが引き続き転帰を予測する方法であるかどうかを判断するため、参加者の追跡調査を継続する予定である。追加の研究では、全生存期間、無増悪生存期間、無治療寛解に達したかどうかを評価する予定である。

本研究はNovartis社から資金提供を受けた。

  • 監訳 佐々木裕哉(血液内科/筑波大学血液内科)
  • 記事担当者 坂下美保子
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  • 原文掲載日 2024/05/31

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