初発AMLへの高用量シタラビン併用療法は安全かつ奏効を改善

MDアンダーソンがんセンター

初めて急性骨髄性白血病(AML)と診断された若くて体力のある患者には、通常、シタラビンとアントラサイクリンの化学療法が投与されるが、最近、シタラビンの高用量投与によって治療成果に改善がみられることが報告された。この併用療法に標的治療薬ソラフェニブを追加したところ、FLT3-ITD変異型AML患者に治療効果が認められた。このような知見に基づき、Tapan Kadia医師を中心とする研究者らが、初発AMLの若年患者65人と、治療歴のある骨髄異形成症候群または骨髄増殖性疾患に起因するAML(ts-AML)患者15人を対象に、クラドリビン、イダルビシンおよび高用量シタラビンの併用療法(CLIA)を検討した。FLT3-ITD変異AML患者にはソラフェニブも追加された。追跡期間の中央値は76カ月、未治療患者の複合完全寛解率(CRc)は83%であったが、ts-AMLコホートのCRcは27%であった。CLIAとソラフェニブの併用療法を受けたFLT3-ITD変異型AML患者のCRcは95%(うち81%には検出可能な微小残存病変を認めなかった)であり、高い持続寛解率を示し、5年全生存率は59%であったことから、この併用療法をさらに検討する価値がある。詳細は American Journal of Hematologyを参照。

【MDアンダーソン研究ハイライト 2023/08/30】

特集:新規の単一細胞計算ツール、細胞分裂に関する洞察、AMLとACCの新たな治療戦略、治療関連の副作用を克服するための標的

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防に関する最新の画期的な進歩を紹介している。このような進歩は、世界の第一線で活躍するMDアンダーソンの臨床医と研究者の間の切れ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた研究室へと発見はこれからも続いていく。

最近の進展には、単一細胞シーケンスデータから1塩基対のDNA変化を検出する新しい計算ツール、臓器移植でよく使用される薬剤により生じる高血圧の治療として期待される標的、遺伝子組み換えに関わる各段階についての詳しい洞察、腺様嚢胞がん(ACC)のサブセットに対する新規治療標的、ある一定の急性骨髄性白血病(AML)患者に治療成果の改善がみられる併用療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を受けた再発/難治性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対する遷延性血球減少症の治療標的などである。

  • 監訳 佐々木裕哉(血液内科/筑波大学血液内科)
  • 翻訳担当者 ギボンズ京子
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023/08/30

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

高リスク慢性リンパ性白血病に3剤併用AVO療法は有望の画像

高リスク慢性リンパ性白血病に3剤併用AVO療法は有望

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、特にTP53異常を持つ高リスク慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する治療における有望な進歩を発表した。これは、高リスクCLLにおける期間限定の3...
米国血液学会ASH2024:3剤併用療法は複数の白血病で高い奏効率を示す他の画像

米国血液学会ASH2024:3剤併用療法は複数の白血病で高い奏効率を示す他

3件の臨床試験で測定可能残存病変の陰性化および全奏効率に関する良好な結果が得られた抄録:216、219、1011
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導した3件...
米FDAが、KMT2A転座を有する再発/難治性の急性白血病にレブメニブを承認の画像

米FDAが、KMT2A転座を有する再発/難治性の急性白血病にレブメニブを承認

有効性は、KMT2A転座を有する再発または難治性(R/R)急性白血病の成人および小児患者104人(生後30日以上)を対象とした非盲検多施設共同試験(SNDX-5613-0700、NCT0406...
米FDAが新たに診断された慢性骨髄性白血病(CML)にアシミニブを迅速承認の画像

米FDAが新たに診断された慢性骨髄性白血病(CML)にアシミニブを迅速承認

2024年10月29日、米国食品医薬品局(FDA)は、慢性期(CP)のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML)と新たに診断された成人患者を対象に、アシミニブ(販売名...