CPX-351は高齢の急性骨髄性白血病患者に対し有効性が非常に高い

キャンサーコンサルタンツ

ジョージア州アトランタで開催された第54回米国血液学会年次総会にて報告された第IIb相試験の結果によれば、CPX-351は二次性急性骨髄性白血病を有し細胞遺伝学的所見が不良な高齢者において、全サブグループ患者に極めて有効であり、標準治療と比較して奏効率と60日死亡率低下に多大な利益をもたらしたという。

急性骨髄性白血病(AML)は骨髄(骨中央のスポンジ様の部分)と血液の癌であり、骨髄球として知られる未熟な白血球細胞の迅速かつコントロール不能な増殖が特徴である。本疾患は小児よりも成人で多く、診断時の平均年齢は65歳を超えている。AMLを有する高齢者への治療はいまだ十分ではなく、多くの患者が診断から数カ月以内に死亡している。

CPX-351は抗腫瘍相乗効果を最大限に高めるため、シタラビンとダウノルビシンを5対1で混合したリポソーム製剤である。CPX-351は骨髄内に蓄積し、白血病細胞がリポソームを優先的に取り込み、次いでカプセル内の薬剤が細胞内に放出される。CPX-351はAML治療のオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として米国食品医薬品局から認可された。

研究者らはCPX-351と現在の標準治療、すなわち従来のシタラビンとダウノルビシン(7+3レジメン)を比較するオープンラベル第IIb相試験を実施した。この試験には年齢60~75歳で未治療のAML(二次性AMLを含む)患者41人を組み入れた。患者を高リスク(70歳を超える、二次性AMLを有する、あるいは染色体異常が4つ以上ある)と標準的リスクに層別化した。一次エンドポイントは完全奏効(CR)、あるいは完全奏効だが好中球や血小板数の回復が不十分(CRi)であることとした。

リスク因子が0または1の患者の奏効と60日死亡は両群で同等であるという結果が示された。CPX-351で治療を行ったリスク因子2または3の患者の奏効率と60日死亡率はリスク因子0または1の患者群と同等であった。対照群でリスク因子を複数有する患者の結果はかなり不良であり、CRは少なくCRiはなく、早期死亡がかなり高率にみられた。

CPX-351は新規発症AMLを有する高齢者の全サブグループにおいて有効性が非常に高く、特にリスク因子を2つ以上有する患者に対して最大の利益をもたらすと、研究者らは結論付けた。次の表でリスク因子2つ以上を有する患者の結果を示す。

リスク因子2~3を有する患者の結果

 

CPX-351 (n= 26)

7+3 (n= 15)

CR率(%)

11 (42.3)

4 (26.7)

CRi率(%)

7 (26.9)

0

CR+CRi率(%)

18 (69.2)

4 (26.7)

60日死亡率(%)

1 (3.8)

6 (40.0)

無イベント生存期間(EFS)中央値

9.1カ月

1.1カ月

全生存期間中央値

10.7カ月

6.1カ月

参考文献:

Lancet JE, Cortes JE, Kovacsovics T, et al. CPX-351 is effective in newly diagnosed older patients with AML and with multiple risk factors. Blood (ASH Annual Meeting Abstracts) 2012; 120: Abstract 3626.


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翻訳担当者 大倉綾子

監修 林 正樹 (血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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