治療による二次性白血病リスク増加についてNIHが研究

NCIプレスリリース

新たな研究が、以前他の種類の癌、特に非ホジキンリンパ腫(NHL)を化学療法で治療した成人にこの30年間増加している、がんの一種である急性骨髄性白血病(AML)のリスクパターンについて概説している。

NIH(米国国立衛生研究所)の傘下の米国国立癌研究所(NCI)の研究者の知見は、2013年2月14日付けのBlood誌オンライン版に掲載された。少数の患者を元にした知見であるが、これら癌患者に対しての近年の治療方法の変化に照らして興味深いものである。

研究者らは、化学療法は癌治療において非常に有効であり、二次的な白血病リスクは患者個人にとって一般的に低いと言及した。著者らは、NHLサバイバーに二次性白血病のリスクが増加していることは、多数のコースの化学療法を行うことにより悪性リンパ腫のいくつかのサブタイプの生存期間が近年延びていることが原因である可能性があると示唆している。

本研究期間において、研究者らは卵巣癌、骨髄腫、もしくは肺癌を治療した患者にリスクが減少していることを発見した。卵巣癌患者のリスク減少は、1990年代初めにメルファランと呼ばれるアルキル化剤の薬剤からプラチナベースの化学療法剤に変更された時と一致している。

化学療法の中には二次的な白血病発症の高リスクに関連したものがあり、特にある種のアルキル化剤を含む場合は特に知られている」NCIの癌疫学・遺伝学部門、放射線疫学科Lindsay Morton博士は述べた。そして「この研究の目的は経年的に癌患者にとっての白血病発症リスクがどのように変化しているかをより良く理解することである」と述べた。

著者らは、2000年以降の食道癌、前立腺癌または子宮頸癌を治療した患者と、1990年以降の骨腫瘍、関節腫瘍または子宮内膜癌を治療した患者には、治療関連のAMLリスクが増加している証拠も発見した。

Morton博士と同僚らはNCIのSEER癌登録からのデータを利用して、1975年から2008年に癌と診断された42万6千人以上の成人と、初回治療として化学療法を受けた患者を評価した。患者の中で、801人がその後にAMLを発症したことを同定した。SEER癌登録からのデータのため、個々の患者を治療した薬剤を特定する情報は存在しない。この研究独自の特徴は、現在の治療年代(2001~2008年)に化学療法を受けた多くの患者の白血病リスクを評価できたことである。

研究者らは、「最も治療に関連した白血病リスクが最も高い患者集団、とくに良好な生存可能性の癌患者にとっての白血病リスクを確認できたことは重要であり、再び病になることを防ぐために可能な限りの努力を行うことができる。この研究で得られなかった、特定の化学療法剤に関連したリスクについての情報を集める研究が今後必要である」と述べた。

「さらに、治療に関連した白血病になりやすい患者の遺伝子感受性を評価することは興味深い」とMorton博士は付け加えた。「治療の結果、ある種の遺伝的特徴をもつ患者が二次的な癌になりやすくなるのなら、臨床医は確立された化学療法の恩恵に対抗する白血病のリスクをより正確に検討することができる」と言った。

この研究は、NCIのintramural fundingの助成を受けた(contract number:Z01 CP010131-18)。

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参考文献:Morton LM et al. Evolving risk of therapy-related acute myeloid leukemia cancer chemotherapy among adults in the United States, 1975-2008. Blood, the journal of the American Society of Hematology. Feb. 14, 2013.

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岩崎多歌子 翻訳
原野謙一(乳腺科・婦人科癌・腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)監修 
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原文掲載日 

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