チェルノブイリ原発の除染作業者に慢性リンパ性白血病リスクが増加
NCIニュースノート
1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の復旧および除染作業従事者において、慢性リンパ性白血病のリスクが有意に増加していることが、新たな調査により明らかとなった。放射線は種々のタイプの白血病のリスクを増加させることが、以前から知られている。チェルノブイリの除染作業従事者に関するこれまでの調査で、放射線被ばくに関連した慢性リンパ性白血病(悪性度の低いタイプの白血病)のリスクが増加する可能性が示されてきたが、さらに今回の新たな調査で、この関連を裏付けるより強力な証拠が提示された。20年以上にわたる医学的追跡調査の結果、研究者らは、作業者集団における全白血病症例の16%(非慢性リンパ性白血病の15%および慢性リンパ性白血病の18%)が、原子炉事故による放射線被ばくに起因するとしている。この国際調査は、NCI(米国国立癌研究所)、ニューヨークのコロンビア大学およびカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)によって実施され、2012年11月8日付けのEnvironmental Health Perspectives誌オンライン版に掲載された。
UCSFのLydia Zablotska医学博士率いる研究者らは、チェルノブイリ事故の除染に携わった11万人のウクライナ人作業者を追跡調査した。新たな白血病の症例は1986年から2006年まで収集され、血液疾患専門医による委員会で確定診断された。研究者らは、白血病患者およびその患者と年齢や居住地が類似した比較群について、骨髄の放射線照射量を個別に推定した。調査結果は、チェルノブイリ除染作業時の放射線被ばくによって、慢性リンパ性白血病に加え、放射線被ばくと関連があるとされる他のタイプの白血病のリスクも増加していることを示した。この調査報告書の著者らは、欧米人において最も一般的な白血病である慢性リンパ性白血病と放射線との関連について、さらなる調査を強く求めている。このリスク因子の知見は、慢性リンパ性白血病を引き起こす生物学的メカニズムの新しい研究への道を開くことになる。
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