2012/09/18号◆FDA情報「FDAが前立腺癌の発見に役立つ造影剤を承認」「進行前立腺癌に対する治療薬を承認」「FDAが慢性骨髄性白血病に対する新薬を承認」

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NCI Cancer Bulletin2012年9月18日号(Volume 9 / Number 18)

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◇◆◇ FDA情報 ◇◆◇

・FDAが前立腺癌の発見に役立つ造影剤を承認
・進行前立腺癌に対する治療薬を承認
・FDAが慢性骨髄性白血病に対する新薬を承認

FDAが前立腺癌の発見に役立つ造影剤を承認

米国食品医薬品局(FDA)は、再発前立腺癌の発見に役立つものとして、放射断層撮影法(PET)スキャンと共に用いる造影剤であるコリンC11注射剤の製造および使用を承認した

コリンC11注射剤は、前立腺癌治療後に前立腺特異抗原(PSA)値が上昇した男性患者に対し、追跡組織標本採取および検査のため、特定の身体部位の確認に役立つ画像を撮影するために、静脈内投与される。

造影剤は専門の施設で製造されなければならず、製造後は短期間に使用しなければならない。メイヨークリニックはコリンC11注射剤を製造する施設として最初にFDA承認を受けた。造影剤の安全性および有効性は4つの独立した試験により実証された。これらの試験ではPSA値が上昇しているものの従来の画像診断では再発の徴候がみられない患者計98人を対象とした。

4つの試験のいずれにおいても、コリンC11を造影剤に用いたPETスキャンで異常が認められた患者の半数以上で、組織標本により前立腺癌の再発が確認された。またPETスキャンの誤診も報告されている。試験にもよるが、男性の15~47%にPETスキャンの偽陽性が認められた。こうした結果から、コリンC11注射剤を用いたPETスキャンで異常が認められた場合に組織標本を用いて検査結果を裏付けることの必要性が浮き彫りになっている、とFDAはプレスリリースで述べた。

注射部位の軽度の皮膚反応以外には、コリンC11注射剤の副作用は報告されていない。

進行性前立腺癌に対する治療薬を承認

FDAは、腫瘍増殖を促す男性ホルモンであるテストステロンを抑制する薬物療法や外科手術を実施した後に転移または再発した進行性前立腺癌男性患者の治療薬として、エンザルタミド(Xtandi)を承認した。本薬剤はドセタキセルによる化学療法歴を有する前立腺癌患者を対象に承認された。

エンザルタミド(MDV3100)の安全性および有効性はドセタキセルによる化学療法歴を有する転移性の去勢抵抗性前立腺癌患者1,199人を対象とした試験で評価された。エンザルタミド投与患者の全生存期間中央値は18.4カ月であったのに対し、プラセボ投与患者では13.6カ月であった。

主に認められた副作用は、疲労、背部痛、下痢、関節痛、ほてり、組織腫脹、筋肉および骨痛、気道感染、めまい、脊髄圧迫、血尿、チクチクする感覚、不安ならびに高血圧であった。

エンザルタミド投与患者の痙攣発作の発生率は約1%であり、痙攣発作が生じた患者にはエンザルタミドの投与が中止された。本臨床試験では、痙攣発作またはその他の脳障害歴のある患者や痙攣発作を引き起こす可能性のある薬剤を服用している患者は除外された。これらの患者でのエンザルタミドの安全性は不明である。

エンザルタミドはFDAの優先審査プログラムで審査された。このプログラムは、治療に大きな進歩をもたらす可能性のある薬剤や他に適切な治療法が存在しない場合に治療を提供できる薬剤を、優先的に6カ月で審査するものである。

FDAが慢性骨髄性白血病に対する新薬を承認

FDAは、通常は高齢者で発症する血液および骨髄の疾患である慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬としてボスチニブ(Bosulif)を承認した。ボスチニブは、イマチニブ(グリベック)などによる治療に抵抗性または不耐容を示す慢性期、移行期または急性転化期のフィラデルフィア染色体陽性CML患者を対象とする。

大半のCML患者はフィラデルフィア染色体と呼ばれる染色体異常を有しており、この異常によって骨髄からBcr-Ablと呼ばれる異常なチロシンキナーゼが産生される。このチロシンキナーゼにより、顆粒球という感染防御を行う白血球が異常かつ有害に増殖される。ボスチニブはチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であり、Bcr-Abl伝達を阻害する働きをもつ。

ボスチニブの安全性および有効性は慢性期、移行期または急性転化期のCML患者546人を対象に実施された臨床試験で評価された。いずれの患者も、少なくとも1回のTKI治療歴を有しており、イマチニブによる治療か、またはイマチニブの治療後にダサチニブ(スプリセル)あるいはニロチニブ(タシグナ)治療、またはその両方の治療を受けていた。

慢性期のCML患者のうち、24週以内にイマチニブによる治療歴を有する患者の34%および複数のTKIによる治療歴を有する患者の27%が細胞遺伝学的寛解に到達した。

少なくとも1回のTKI治療歴を有する移行期CML患者では、48週までに患者の30%で血球数が正常範囲に回復した(血液学的完全寛解)。55%が48週までに血液学的完全寛解、白血病の徴候がない状態、または慢性期を達成した(血液学的寛解)。少なくとも1回のTKI治療歴を有する急性転化期のCML患者では、48週までに15%が血液学的完全寛解を、28%が血液学的寛解を達成した。

ボスチニブ投与群に最もよく見られた副作用は、下痢、吐き気、血小板数減少、嘔吐、腹痛、発疹、貧血、発熱および疲労であった。

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北川瑠璃子 訳
辻村信一(獣医学/農学博士、メディカルライター) 監修 
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