FDAがSprycel〔スプリセル〕を新しい適応で承認
FOR IMMEDIATE RELEASE:2010年10月28日
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FDAがSprycel〔スプリセル〕を新しい適応で承認
まれなタイプの白血病患者に新たな治療選択肢
米国食品医薬品局(FDA)は本日(10月28日)、初めて診断されたまれな血液腫瘍の治療薬として、Sprycel〔スプリセル〕(dasatinib〔ダサチニブ〕)の新たな適応を承認した。フィラデルフィア染色体陽性慢性期慢性骨髄性白血病(Ph+CP-CML)というこの悪性腫瘍は、遺伝子異常を原因とする緩徐に進行する血液と骨髄の疾患である。[pagebreak]経口キナーゼ阻害薬であるSprycelは、癌細胞成長の原因であるいくつかのタンパク質の活性を阻害すると考えられている。この阻害作用によって、骨髄で正常な赤血球、白血球細胞の再生を開始させることが可能になる。
FDAは2006年6月、治療抵抗性であるかまたはGleevec〔グリベック〕(imatinib〔イマチニブ〕)などの治療薬に対して不耐容を示したCP-CML成人患者の治療薬として、Sprycelを迅速承認した。FDAは、それまでの臨床試験から得られた24カ月間の追跡調査データによって治療の安全性および有効性が確認されたのを受け、2009年5月にSprycelを通常承認に切り替えた。
さまざまなタイプのCMLの治療薬としてFDAが承認したその他の薬剤には、2001年5月承認のGleevec、2007年10月承認のTasigna〔タシグナ〕(nilotinib〔ニロチニブ〕)がある。
FDAはSprycelをPh+CP-CML治療薬として優先審査対象にした。
Sprycelは迅速承認制度で承認された3番目のPh+CP-CMLの治療薬である。迅速承認制度によって、FDAは、臨床的有効性が合理的に予測できると思われる評価項目に基づいて、未だに解決されていない医療上の需要がある重篤な疾患の治療薬を承認することができる。企業はさらに薬の有益性を裏付ける長期の有効性および安全性情報データを収集することを求められる。迅速承認制度によって、確認臨床試験が実施中でも有望な新薬を患者が使用できるようになっている。
「このような薬はCML患者の生活を大きく変えた。CMLに関する追加研究の結果により、癌の初期段階に対する治療薬の研究を行う重要性が明らかにされてきている」とFDAの薬物評価研究センターの抗腫瘍薬製品室長Richard Pazdur医師は述べた。
CMLでは、過剰な血液幹細胞が顆粒球というタイプの白血球に分化する。この顆粒球は異常な白血球で正常になることはない。このような細胞が血中および骨髄を占めるようになり、正常な白血球、赤血球および血小板のスペースが減少する。このような状態になると、感染症、貧血または予期せぬ出血が起こることがある。
CP-CML患者を対象とした無作為化非盲検試験でSprycelの安全性と有効性を評価した。この臨床試験では、悪性細胞が治療にどの程度反応したのかを示す遺伝子レベルでの指標である細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)と細胞遺伝学的Major寛解(MCyR)を判定した。Sprycelの副反応として最も多く認められたのは、赤血球、白血球、血小板の減少をきたす骨髄機能の低下(骨髄抑制)、体液貯留、下痢、頭痛、筋骨格系疼痛、発疹であった。
Sprycelはニューヨークに拠点を置くブリストル・マイヤーズ スクイブ社が販売している。TasignaとGleevecはニュージャージー州イースト・ハノーバーを拠点とするノバルティス社が販売している。
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多和郁恵 訳
北村裕太(農学/医学) 監修
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