低用量のマイロターグは高齢の急性骨髄性白血病患者の生存率を向上させる可能性

キャンサーコンサルタンツ

Lancet誌掲載の研究結果によれば、50~70代の未治療急性骨髄性白血病(AML)患者は、マイロターグ(ゲムツズマブ オゾガマイシン)+標準的化学療法で治療すると、標準的化学療法単独で治療した場合より生存期間がより延長されると考えられる。

急性骨髄性白血病(AML)とは、骨髄(骨の中央にみられる海綿状部分)および血液の癌であり、骨髄球として知られる白血球の急速かつ無制御増加を特徴とする。この疾患は小児より成人により多くみられ、診断時の平均年齢は65歳を超える。

若年AML患者の生存率は、用量強化化学療法の増加および幹細胞移植により過去20年でかなり大きく改善されている。しかし、高齢AML患者の治療においては、ほとんど改善がみられない。高齢患者は、若年患者に対して行われる積極的治療に耐えられないことがその原因であることが多い。高齢AML患者の治療は依然として意に満たないものであり、ほとんどの患者は診断後数カ月で死亡する。予後不良の原因のひとつとして、細胞遺伝学的および分子的異常との関連がある。

マイロターグは本来2000年に米国食品医薬品局(FDA)の加速承認プログラムの下で承認を受けた標的薬であるが、完全承認のために必要とされた確認臨床試験において、生存率を改善せず、治療関連死を含む毒性を増加させることが明らかになった。2010年、製造業者(Pfizer, Inc)は本薬を自主回収したが、臨床試験は継続された。

本臨床試験は50~70代の未治療AML患者280人を対象とした。患者を標準的化学療法(ダウノルビシンおよびシタラビン)または標準的化学療法+マイロターグのいずれかに無作為に割り付けた。研究者らは副作用を軽減するため、化学療法期間中マイロターグを(2日間の高用量投与ではなく)3日間かけて低用量・分割投与した。

研究者らは、低用量・分割投与のマイロターグを標準的化学療法に加えると全生存率およびイベントフリー生存率を改善することを明らかにした。2年間の追跡期間後、イベントフリー生存率は化学療法群で17%、マイロターグ+化学療法群で41%であった。さらに、治療後2年の全生存率はマイロターグ非投与群で42%、マイロターグ投与群で53%であった。

マイロターグ群の患者では、白血球および血小板の持続的減少を含む副作用がより多く認められたが、治療関連死数で両群間に有意差はみられなかった。

研究者らは、低用量・分割投与のマイロターグはAML患者の転帰を改善する、と結論付けた。これは、本薬には効果がなく、また毒性が強すぎると示唆した先行試験結果に対して全く矛盾するものであるため、研究をさらに継続する予定である。

参考文献:
Castaigne S, Pautas C, Terre C, et al. Effect of gemtuzumab ozogamicin on survival of adult patients with de-novo acute myeloid leukaemia (ALFA-0701): a randomised, open-label, phase 3 study. The Lancet. 2012; 379(9825): 1508-16.


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翻訳担当者 可部真知子

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院)

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