局所外用薬イミキモドは、HPV関連の外陰部病変に対して手術同様に有効

一般的にヒトパピローマウイルス(HPV)に起因する前がん病変である、外陰部高悪性扁平上皮内病変(vHSILs)の一次治療において、局所イミキモドクリーム(販売名:ベセルナ)塗布が手術と同様に有効であることがわかった。

この結果は、2つの治療法を比較した最初のランダム化非劣性試験によって示された。

この試験は、組織学的にp16陽性のvHSILと確認された110人の患者を対象としてオーストリアの6病院で行われた。54人が自己管理下でイミキモドを使用(用量を段階的に週3回まで増やし、4~6カ月間)した一方で、53人が手術(切除または​​​​焼灼)を受けた。

「プロトコルのイミキモド治療では6カ月後の臨床完全奏効率が80%であったのに対し、1回の外科的介入後では79%でした」と、グラーツ医科大学(オーストリア)のGerda Trutnovsky博士らはThe Lancet誌で報告した。

「有害事象は治療法ごとに違っており、局所痛は外科的処置後により強く、局所のかゆみと紅斑はイミキモド使用中により多くみられました」。

健康関連QOLや治療満足度について、群間差は認められなかった。初回の手術時に4人が侵襲性外陰がんと診断されたが、イミキモド治療完了後にこの診断を受けた患者はいなかった。(*監訳者注:これはクリーム塗布群では最初の全体の病理が評価できないので、単純にその差だと思います。)

外陰部高悪性扁平上皮内病変(vHSILs)の女性のために治療選択肢の効果とリスクを検討することは重要である、と著者らはいう。

本研究結果に基づき、「定期的な経過観察が継続される限り、イミキモド治療は腫瘍学的に安全だと思われます。治療法は、患者の併存疾患と好みによって決められるべきです」。

「イミキモドの主な欠点は、比較的治療期間が長いことであり、患者による治療の遵守が必要です。即効性を求める患者や、(認知症や知的障害など)治療が継続しにくいと判断される患者には、従来通り手術が選択されるかもしれません。その他のすべてのvHSILで、イミキモドは一次治療の選択肢であると考えられます」と研究チームはいう。

リンク先のコメント著者らは、本試験が「手術と比較したイミキモドの非劣性を証明し、外陰部高悪性扁平上皮内病変(vHSILs)の一次治療選択肢としてのイミキモドの高い有効性を確認した最初の試験である」と述べている。

「上手に施行されてはいるものの、本研究の大きな限界は、対象となった患者の大半(78%)が単発病変であり、vHSIL患者の多くを代表していないことである」と、オランダがん研究所(アムステルダム)のEkaterina Jordanova博士らはいう。また、ベースラインの平均病変サイズは、これまでの研究より小さかった。

コメント著者らは、イミキモドの効果が最も期待できる患者群を特定することが重要であること、また本剤の免疫調節機構をより深く理解することが臨床上の効果を予測するために不可欠であることに同意する。

コメントには、イミキモドの完全奏効が、タイプ1のCD4/CD8T細胞およびCD14炎症性骨髄細胞の協調的流入と関連しているという最近の研究結果が示されている。

「そのような既存の、協調的な免疫微小環境がない患者は、治療に抵抗性を示すかもしれない。したがって、空間的トランスクリプトミクスやイメージングマスサイトメトリーなどのマルチパラメータ法を用いて、治療効果を予測するバイオマーカーをさらに発見する必要がある」とJordanova博士らは結論づけた。

本研究の資金は、オーストリア科学財団(FWF)およびオーストリア婦人科腫瘍学グループから提供された。本試験の研究者およびコメント著者は、利益相反がないことを宣言する。

監修 河村光栄(京都桂病院/放射線治療科)

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