長期の再発リスクや浸潤性子宮頸癌と関係する子宮頸部上皮内腫瘍

キャンサーコンサルタンツ
2009年5月

カナダの研究者らは子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)の治療を受けた女性は、浸潤性腫瘍発現リスクの増加あるいは子宮頸部上皮内腫瘍の再発リスクが長期にわたるため、長期の経過観察が必要であることを報告した。この試験の詳細は2009年5月20日発行のJournal of the National Cancer Institute誌に掲載された。[1]

子宮頸部の前癌病変は子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)と呼ばれる。CINの重篤度は1~3の段階に分かれ3が最も重篤である。CIN2とCIN3は「高悪性度」CINと考えられ未治療で放置された場合、癌に進行する可能性がある。

CINの範囲と重篤度によって患者は電気外科的ループ切除法(LEEP)、円錐切除術、レーザー切除または凍結療法により治療が行われるであろう。

高悪性度CINの治療により子宮頸癌の発現の可能性は減少するが、CIN既往歴を持つ女性は子宮頸癌のリスクが依然として一般母集団より高いと思われる。例えばスエーデンの研究者らは子宮頸部の高悪性度前癌病変(CIN3)の治療を受けた患者は一般母集団よりその後に子宮頸癌または膣癌を発現しやすいことを以前報告した。さらにこのリスク増加は少なくとも25年間持続する。

これらの知見を確認するために、British Columbiaコホート研究の研究者らは1986年から2000年の間にCIN1、2または3の治療を受けた37,142人の女性を同定した。彼女らは治療時から2004年まで調査され、積極的調査を受けたCIN既往歴がない71,213人の集団と比較された。

試験結果からCIN群では1年で10万人中子宮頸癌患者が37人だったのに対し、non-CIN群では1年で10万人中、子宮頸癌患者は6人と、CIN群の方が対照群に比べて有意にCIN(再発)率が高かった。当初CIN3の治療を受けた患者のリスクが最も高かった。リスクは加齢と関係があると思われ40歳を超えたとき最も高かった。CIN再発率が最も高いのは治療後の6年以内で、大多数は最初の2年間で同定された。凍結療法による治療が最も高い再発率と関係した。

コメント:
これらの所見は以前のスウェーデンの試験を確認し、高リスク群の女性で経過観察の継続が必要であることを示唆する。

参考文献:
[1] Melnikow J, McGahan C, Sawaya GF, et al. Cervical intraepithelial neoplasia outcomes after treatment: Long-term follow-up from the British Columbia Cohort Study. Journal of the National Cancer Institute. 2009; 101: 721-728.


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翻訳担当者 内村 美里人

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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