進行子宮頸がんに免疫療法薬Balstilimabが有望

転移性子宮頸がんは現在有効な治療選択肢が限られており、罹患率は若年女性で突出して高い。 この疾患に対して、PD-1(プログラム細胞死1)を標的とする新規の免疫療法薬を研究している2件の独立した第2相臨床試験の中間報告では、この新規免疫療法薬が新たな選択肢となりうる可能性を示唆している。

オハイオ州立大学総合がんセンターのアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC – James)のDavid O’Malley医師が、9月18日、本臨床試験の中間報告を欧州臨床腫瘍学会(ESMO)バーチャル会議2020で発表した。両試験はAgenus Inc.社の支援を受けており、O’Malley医師はその筆頭発表者を務めた。

米国と欧州のがん治療施設から、再発または転移性子宮頸がん患者各150人以上が2つの試験に参加した。全員が初回治療としてプラチナベース化学療法を受けていた。2件の第2相試験は独立した継続試験であり、最初の試験でbalstilimab[バルスチリマブ ]と呼ばれる新しい免疫療法薬を単剤投与し、2件目の試験ではzalifrelimab[ザリフレリマブ ]と呼ばれるモノクローナル抗体薬を併用した。

バルスチリマブは免疫チェックポイント阻害薬の一種である。これらの阻害薬はがん細胞内のPD-1タンパク質を標的とし、免疫機構から逃れようとするがん細胞を認識して破壊するのを助けるスイッチを「オン」にする。ザリフレリマブは、がん細胞を攻撃するための免疫応答を改善する人工分子(モノクローナル抗体)を供給する薬剤である。

最初の試験で、患者160人にバルスチリマブを単剤投与したところ、投与を受けた全患者での奏効率は14%、PD-L1陽性患者での奏効率は19%であった。

2件目の試験では、患者155人にバルスチリマブとザリフレリマブの併用投与を行い、全患者の奏効率は22%、PD-L1陽性患者では27%であった。

「再発子宮頸がんに対するがん免疫療法では、この2件の臨床試験がこれまでで最大規模であり、バルスチリマブとザリフレリマブが子宮頸がん患者さんに意義のある新しい治療法を提供する可能性があることを示しています」とO’Malley医師は述べている。「これらの薬剤の進歩は、治療の選択肢が限られている患者さんに新たな希望を与えてくれます。子宮頸がんは若年女性での罹患率が突出して高い疾患であるため、薬剤の進歩は特に重要なのです」。

O’Malley医師は、OSUCCC – Jamesの婦人科腫瘍医であり、オハイオ州立大学医学部の教授でもある。O’Malley医師は、本研究のスポンサーであるAgenus Inc.社の有償コンサルタントを務めている。

翻訳担当者 山本哲靖 

監修 北丸綾子(分子生物学/理学博士)

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