化学放射線療法は、放射線単独より子宮体がんの生存率を改善
Ⅲ期子宮体がん患者または漿液性組織像を示す患者、あるいはその両方において最も有用性が認められた
高リスク子宮体がん患者を対象とした国際ランダム化第3相試験であるPORTEC-3試験の最新データで、術後に同時化学放射線療法を受けた患者群では、放射線治療単独群に比べて、全生存期間(OS)および治療成功維持生存期間(FFS)が有意に改善したことが示された。III期または漿液性がん、あるいはその両方の患者において最も有用性が認められた。再発した患者のうち、大多数は遠隔転移であった。骨盤内再発は両群とも少なく、優れた治療成績であった。本試験の結果は、2019年7月22日のLancet Oncology誌に掲載される。
子宮体がん患者は一般的に予後良好であるが、15〜20%の患者は高リスク群に分類される。高リスク群は、深部浸潤を伴う類内膜腺がんグレード3の病期I期の患者、残存病変のない病期2または3期の患者、あるいは類内膜がん以外(漿液性がんまたは明細胞がん)の組織型の患者と定義されている。
高リスク子宮体がん患者に対する現在の標準術後治療は、放射線の全骨盤照射である。過去に実施された術後治療の研究では、全骨盤照射を含む治療スケジュールと比較して、術後化学療法単独群で骨盤内再発率が高いことが報告されている。
PORTEC-3試験では、高リスク子宮体がん患者が、全骨盤照射単独群または放射線治療と2サイクルのシスプラチン投与を同時に行った後、4サイクルのパクリタキセル/カルボプラチンを投与する群にランダムに割り当てられた。
本試験の主要評価項目は、全生存期間(OS)と治療成功維持生存期間(FFS)であった。副次評価項目である膣、骨盤内、および遠隔再発率の解析は、最初の再発部位を対象とした。生存率は、ITTによる患者において解析され、層別化因子によって調整された。FFSと再発率は、競合リスク法を用いて解析された。
さらに1年間の追跡調査を実施し、再発パターンを分析する事後解析が行われた。本試験は、686人の患者が参加し、2013年12月20日に登録は終了した。参加者のうち660人が適格かつ評価可能例であった(各群330人)。現在も追跡調査が進行中である。
追跡期間の中央値は72.6カ月で、5年生存率は化学放射線療法群で81.4%であったのに対し、放射線治療単独群では76.1%であった。(調整ハザード比[HR] 0.70、p = 0.034)。 5年治療成功維持生存率は76.5%対69.1%(HR 0.70、p = 0.016)であった。
再発した患者のほとんどは、遠隔転移が最初の再発部位であった。遠隔転移は、化学放射線療法群では330人中78人で発生し、彼女らの5年生存率は21.4%、放射線治療単独群では330人中98人で発生し、5年生存率は29.1%であった。(HR 0.74; p = 0.047)。
最初の再発部位が膣の局所再発であった患者は、各群1人(0.3%)であった。
最初の再発部位が骨盤内の局所再発であった患者は、化学放射線療法群で3人(0.9%)、放射線治療単独群で4人(0.9%)であった。
5年間の調査で、グレード4の有害事象は、化学放射線療法群において1例(イレウスまたは閉塞)報告された。グレード3の有害事象は、化学放射線療法群で201人中16人(8%)、放射線治療単独群で187人中10人(5%)に発生し、両群に有意な差は認められなかった。最も報告されたグレード3の有害事象は、各群4人(2%)の患者に発生した高血圧であった。 グレード2以上の有害事象は、化学放射線療法群201人中76人(38%)で報告されたのに対し、放射線治療単独群では187人中43人(23%)で報告された(p = 0.002)。感覚性神経障害は、放射線治療単独群よりも化学放射線療法群においてより頻繁に治療後も持続し、5年間の追跡において、グレード2以上の神経障害は、6%(201人中13人)対0%(187人中0人)であった。治療に関連した死亡は報告されていない。
著者らは、共有の意思決定プロセスの一環として、特にIII期の子宮体がんまたは漿液性がん、あるいはその両方を有する患者において、術後化学療法と放射線治療の併用を議論し、新しい標準治療として推奨すべきであると結論付けた。長期生存を評価するための追跡調査は、現在も進行中である。また、PORTEC-3試験参加者より提供された組織サンプルを用いた分子研究が進行中である。
Reference:de Boer SM, Powell ME, Mileshkin L, et al. Adjuvant chemoradiotherapy versus radiotherapy alone in women with high-risk endometrial cancer (PORTEC-3): patterns of recurrence and post-hoc survival analysis of a randomised phase 3 trial. Lancet Oncol; Published online 22 July 2019. DOI:https://doi.org/10.1016/S1470-2045(19)30395-X.
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
子宮がんに関連する記事
欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライト
2024年12月20日
リンチ症候群患者のためのがん予防ワクチン開発始まる
2024年11月5日
リンチ症候群は、家族で遺伝するまれな遺伝的疾患で、大腸がん、子宮...
一部の早期婦人科がんにペムブロリズマブ+化学放射線や抗Claudin6抗体薬物複合体が有益
2024年10月6日
子宮内膜がんに対する免疫療法薬(イミフィンジ、キイトルーダ、Jemperli)の選択肢が増える
2024年8月19日
6月14日に発表された1つ...