FDAがガーダシル9(HPVワクチン)を27歳-45歳成人にも拡大承認

FDAニュースリリース
2018年10月5日

米国食品医薬品局(FDA)は、ガーダシル9(ヒトパピローマウイルス(HPV)9価ワクチン、遺伝子組換え)ワクチン投与を27〜45歳の男女にも拡大承認する、一部 変更申請を本日承認した。ガーダシル9は、同ワクチンが対応する9種のHPV型によって引き起こされる特定のがんおよび疾患を予防する。

「本日の承認は、より幅広い年齢層におけるHPV関連の疾患やがんの予防に役立つ重要な機会となります」と、Peter Marks氏(医学博士、FDA生物製剤評価研究センター長)は述べる。「米国疾病対策予防センター(CDC)では、HPVワクチンが対応するHPV型に感染する以前に同ワクチンを接種すると、特定のがん種の発症例の90%以上、すなわち年間31,200例を完全に防ぐ可能性があると表明しています」。

CDCによると、毎年約1400万人の米国人がHPVに感染し、約12,000人の女性が特定のHPVウイルスが引き起こす子宮頸がんと診断され、約4,000人の女性がそれにより死亡する。さらにHPVウイルスはいくつかの別のがん種と関連しており、男女ともに影響を及ぼす。

ガーダシルは、4種のHPV型によって引き起こされる特定のがんおよび疾患を予防するワクチンとして2006年にFDA承認されたが、すでに米国内では市販されていない。2014年、FDAは、ガーダシルと同じ4種のHPV型に加えて、5種のHPV型に対応するガーダシル9を承認した。ガーダシル9は9〜26歳の男女への投与が承認された。

製造法が同様である点、さらに同じ4種のHPV型に対応している点から、ガーダシルの有効性はガーダシル9に関連する。27歳~45歳までの女性約3,200人を対象とした臨床試験で、平均3.5年間追跡調査をおこなったところ、ガーダシルは、同ワクチンが予防するHPV型に関連する持続感染、陰部疣贅(ゆうぜい、*いぼ)、外陰部および膣前がん病変、子宮頸部前がん病変、子宮頸がんの複合エンドポイント予防において、88%の有効性を示した。FDAが27歳~45歳の女性にガーダシル9を承認したのは、上述の研究結果および本試験の長期追跡調査に関する新データに基づいている。

27~45歳男性に対するガーダシル9の有効性は、上述した27~45歳女性のデータだけでなく、若年男性(16~26歳)に対するガーダシルの有効性データ、および27~45歳の男性150人を対象にガーダシル3回投与レジメンを6カ月にわたりおこなった臨床試験の免疫原性データから推察される。

ガーダシル9の安全性は、男女合計約13,000人で評価した。最も多く報告された有害反応は注射部位の疼痛、腫脹、発赤、頭痛であった。

FDAはガーダシル9の医薬品優先審査認定申請を承認した。本プログラムは、深刻なまたは生命を脅かす状態に対処するための医薬品審査を迅速に促進する。

FDAは、ガーダシル9生物製剤ライセンス申請書におけるこの一部変更申請をメルク社の子会社の一つMSD社に承認した。

FDAは、ヒトおよび動物用医薬品、ワクチンおよびその他のヒト用生物製剤、ならびに医療機器の安全性、有効性、信頼性を保証することにより公衆衛生を保護する米国保健福祉省の機関である。当局は米国民の食糧供給、化粧品、健康補助食品、電子線を放出する製品、およびたばこ製品規制の安全性と信頼性についても責任を担っている。

翻訳担当者 佐藤美奈子

監修 朝井鈴佳(獣医学・免疫学)

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