再発子宮体がんにメトホルミン、レトロゾール、アベマシクリブの3剤併用は安全で有望

エストロゲン受容体(ER)陽性の再発または治療後残存している子宮体がん(子宮内膜がん)患者のほぼ全員において、がん細胞を内外から標的とする3剤併用療法により腫瘍が縮小または安定化したことが、最近の第2相臨床試験の結果から示された。子宮内膜から発生する子宮体がんは、世界で6番目に多いがんであり、毎年40万人以上の女性が診断されている。子宮内膜腫瘍の大部分はER陽性である。
 
本日シアトルで開催された婦人科腫瘍学会(SGO)年次総会において、ダナファーバーの婦人科腫瘍学臨床・トランスレーショナル研究部門 Velma Eisenson 委員長であるPanagiotis Konstantinopoulos医学博士が、RESOLVE試験の結果を発表し、再発エストロゲン受容体陽性の子宮体がんに対するメトホルミン(※糖尿病治療薬)、レトロゾール、アベマシクリブ(販売名:ベージニオ)3剤併用療法は安全であり、レトロゾールとアベマシクリブの2剤併用よりも深く持続的な奏効が得られる可能性を示した。

Konstantinopoulos博士は、エストロゲン受容体、CDK4/6、PI3K経路を阻害する3つの薬剤の相乗効果を示唆する前臨床研究に基づいてこの試験を開始した。レトロゾールは、アロマターゼと呼ばれる酵素が特定のホルモンをエストロゲンに変換するのを阻害することで、エストロゲンレベルを低下させる。アベマシクリブは細胞増殖に重要な役割を果たすCDK4とCDK6タンパクを阻害する。また、抗糖尿病薬として最もよく知られているメトホルミンはPI3K経路の活性も調節する。
 
 試験に参加した25人の患者全員に3種類の薬が投与された。追跡調査期間中央値17カ月の時点で、3人が完全奏効、5人が部分奏効、16人が病勢安定を示した。無増悪生存期間中央値は19.3カ月を超え、毒性により治療を中止した患者はいなかった。
 
腫瘍の次世代シーケンシングに基づき、研究チームは、完全奏効および部分奏効はすべて、RB1またはCCNE1変異のない非特異的分子プロファイル(NSMP)子宮体がん患者で観察されたことを発見し、この患者グループがこの併用療法から最大の利益を得られることを示唆した。
 
「ホルモン療法にメトホルミンを追加し、アベマシクリブでCDK4/6を阻害することで、NSMP子宮体がんにおいて、ER、CDK4/6、PI3K経路を同時に阻害する、有望かつ持続的な活性のエビデンスが示されました」とKonstantinopoulos博士は述べた。

本日、この結果が発表された婦人科腫瘍学会(SGO)年次総会は、婦人科がん患者の治療とケアに尽力する専門家にとって、最も重要な学術集会である。
 
この医師主導研究は、ダナファーバーがん研究所、The Lewin-Fund to Fight Women's Cancersおよびイーライリリー社から資金提供を受けた。

  • 監修 下村昭彦(腫瘍内科/国立国際医療研究センター病院乳腺・腫瘍内科)
  • 記事担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2025/03/15

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