子宮頸部前癌病変の発見には複数生検が効果が高い
米国国立がん研究所(NCI)ニュースノート
原文掲載日 :2014年11月24日
子宮頸部を酢酸で変化させるコルポスコピー(拡大腟鏡診)として知られる視診では、前癌病変の生検(組織診)標本は、酢酸による変化が最も強い1カ所のみよりも複数部位から採取する方がより効果的である。これは米国国立癌研究所(NCI)の研究者らが新たに調査したもので、複数生検のアプローチは病変の早期発見に寄与し、陰性といったん判定された女性が不必要な生検を繰り返すことを避けられるという。子宮頸癌のスクリーニングでは通常、子宮頸部表面から採取した擦過細胞を検査し、細胞異型が発見された場合は、前癌病変を検出するためコルポスコピーと生検に照会されることになる(前癌病変は典型的には高度扁平上皮内病変[HSIL]と分類される)。生検の結果により、その病変の切除が必要かどうかを判定するが、コルポスコピー時の生検が1カ所のみではHSILが発見できない可能性がある。最大4カ所から生検標本を採取した690人の女性を対象として調査した結果、HSIL検出感度は1カ所生検で60.6%であったのに対し、2カ所では85.6%、3カ所では95.6%に上昇した。
2009年2月~2012年9月に、子宮頸癌スクリーニングで細胞異型が認められた18歳以上の女性が米国オクラホマヘルスサイエンスセンター(Oklahoma Health Sciences Center)で登録されて治療を受け、調査対象とされた。この調査報告はJournal of Clinical Oncology誌(2014年11月24日号)に掲載された。子宮頸部に複数の病変が存在する場合は生検部位を追加することが標準となるだろう、と主著者であるNCI癌疫学遺伝学部門のNicolas Wentzensen 医学博士は結論した。米国では毎年約300万人の女性が婦人科専門医によるコルポスコピーを受けている。生検で採取される組織は、子宮頸部表面で癌の疑いが最も高いと思われる1カ所のみが選ばれることが多い。
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