子宮内膜癌に対する放射線治療により膀胱癌の発症リスクが上昇する可能性
キャンサーコンサルタンツ
子宮内膜癌(子宮体癌ともいう)の治療に放射線療法を用いることにより、後の人生で膀胱癌の発症リスクが上昇する可能性があることがBJU International誌に掲載された試験結果で示された。
子宮内膜癌は婦人科癌のなかでも最も多い癌のひとつで、毎年、新たな患者は49,000人を超え、この疾患での死亡は7,700人を超える。子宮内膜癌にとって手術が一次治療であるが、放射線治療を術後補助療法とする女性も多い。術後補助療法としての放射線治療の目的は、治癒の確率を最大限とするために、手術で取り除けなかった癌細胞を殺すことである。
子宮内膜癌で放射線治療を受けた女性は、前立腺癌で放射線治療を受けた男性同様、後の人生で膀胱癌を発症するリスクが上がるとの研究報告もある。
研究者らは、この関連性を調査するためレトロスペクティブなコホート研究を実施した。Surveillance, Epidemiology and End-Results (SEER)のデータベースから得た記録を用い、1980年から2005年の間に子宮内膜癌と診断された患者56,681人のデータを解析した。
平均15年間の追跡調査で、骨盤の放射線治療を受けた患者での膀胱癌の発症率は、放射線治療を受けていない患者の2倍であった。また、膀胱癌での死亡率は、骨盤の放射線治療を受けた患者では放射線を受けていない患者のほぼ3倍であった。骨盤への放射線照射後に発症する膀胱癌はより悪化する傾向にあり、悪性度が高く病期も進行していると研究者らには長く信じられてきたが、本研究によって、放射線治療を受けたか受けないかにかかわらず発症した膀胱癌の種類や悪性度、病期は同様であることが示された。
研究者らは、子宮内膜癌の治療に放射線療法を用いることで膀胱癌の発症リスクおよび死亡リスクが上昇すると結論づけた。また研究者らは、子宮内膜癌で放射線治療を受けている患者の場合、膀胱癌の徴候を観察することが重要であると示唆している。このことは、確かな早期診断や治療の一助となる可能性がある。
参考文献:
Baack Kukreja JE, Scosyrev E, Brasacchio RA, et al: Bladder cancer incidence and mortality in patients treated with radiation for uterine cancer. BJU International. Published early online. DOI: 10.1111/bju.12543
c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。 |
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
子宮がんに関連する記事
リンチ症候群患者のためのがん予防ワクチン開発始まる
2024年11月5日
リンチ症候群は、家族で遺伝するまれな遺伝的疾患で、大腸がん、子宮...
一部の早期婦人科がんにペムブロリズマブ+化学放射線や抗Claudin6抗体薬物複合体が有益
2024年10月6日
子宮内膜がんに対する免疫療法薬(イミフィンジ、キイトルーダ、Jemperli)の選択肢が増える
2024年8月19日
6月14日に発表された1つ...
子宮頸がん検診のHPV検査は、現行ガイドライン推奨よりも長間隔で安全
2024年6月11日