ヒトパピローマウイルス(HPV)2価ワクチンのFDA承認

商品名:サーバリックス®

・10~25歳の女児および成人女性において、ヒトパピローマウイルス(HPV)16型および18型に起因する子宮頸癌と前癌病変の予防に承認(2009/10/16)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

米国食品医薬品局(FDA)は2009年10月16日、HPV16型および18型に起因する子宮頸癌や前癌病変を予防するための組換えHPV2価ワクチン(サーバリックス®、GlaxoSmithKline Biologicals社製造)を承認した。本ワクチンは10~25歳の女児および成人女性での使用について承認された。

性器HPV感染症は、米国で最も一般的な性感染症であり、HPV16型および18型は世界中の子宮頸癌の約70%の原因となっている。米国国立衛生研究所の国立癌研究所によると、米国では2009年1年間で子宮頸癌新規患者が11,270人、死亡例が4,070人になると推測されている。

FDA生物製剤評価研究センター所長代理であるKaren Midthun医師は、「今回のサーバリックスの認可は、子宮頸癌の予防におけるもう一つの選択肢となる。サーバリックスは、パップテストで異常が認められた場合に必要な追跡調査に伴う生検および侵襲的処置の必要性を減らすだけでなく、子宮頸癌から命を救う可能性がある」と述べる。

サーバリックスの初期の臨床試験には、米国および他の11カ国の15~25歳の女性18000人以上が参加した。これらの女性のうち、約9000人がサーバリックスの接種を受け、約9000人が対照として認可済みA型肝炎ワクチンであるHavrixの接種を受けた。

結果によると、試験開始前にHPV16型または18型、あるいはその両方に感染歴のない女性では、サーバリックスはこれらのHPV ウイルスに起因する前癌性子宮頸部病変の予防に約93%有効であった。試験開始時にHPV16型または18型、あるいはその両方に陰性の女性も陽性の女性も含む全てのサーバリックスワクチン接種者では、サーバリックスは前癌性子宮頸部病変の予防に約53%有効であった。

また、試験にて10~14歳の女児を対象としてサーバリックスに対する免疫反応を調べたところ、15~25歳の成人女性と同等であった。このことは、本ワクチンは10~14歳の年齢群においても同等の有効性があるはずであることを示唆している。

現在のデータでは、サーバリックスの予防効果は約6.4年間であることが示されているが、予防期間に関してはさらなる情報が近々得られるであろう。

全てのワクチンが100%有効ではなく、サーバリックスはワクチン接種時にすでにHPV感染している場合には予防効果がなく、ワクチンに含まれないHPV型に対しては必ずしも予防にはならない。したがって、サーバリックス接種を受ける全ての女性に対して定期的なパップテストの推奨を継続する。癌進行前の治療を可能にするパップ検診は前癌性変化を検出するうえで依然として非常に重要である。

サーバリックスはアジュバンドAS04を含む。AS04は水酸化アルミニウムとモノホスホリル脂質A(MPL)からなっており、FDAに認可された初のアジュバンドとしてMPLを含むワクチンである。アジュバンドはワクチンに組み込まれ、ワクチン接種を受けた人の免疫反応を増強する試薬である。

ワクチンの安全性は約24000人の女児および女性(そのうち約13000人がサーバリックス接種を受けた)で評価された。サーバリックス接種グループにおいて最も多く報告された副作用は、注射部位疼痛、発赤および腫脹、倦怠感、頭痛、筋痛、関節痛、胃腸障害であった。

サーバリックスは妊婦には適応とされていないが、FDAは製造会社であるGlaxoSmithKline Biologicals社に妊娠が判明する前にワクチン接種した妊婦においてサーバリックスの安全性を評価するため市販後調査を行うよう求めている。妊婦、妊娠している可能性のある女性、ワクチン接種期間に妊娠を計画している女性はサーバリックスを使用するべきではない。

サーバリックスは初回投与量で、初回、初回から1カ月後、初回から6カ月後の3回接種する。

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張 知子 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修 
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

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