子宮頸癌IB期の術後放射線照射により予後改善

キャンサーコンサルタンツ
2006年5月

婦人科腫瘍学グループ(GOG)が実施した、長期追跡調査を伴う多施設無作為試験において、IB期子宮頸癌が術後骨盤放射線治療により再発率が低下することが明らかになった。この第3相無作為試験の詳細についてはthe International Journal of Radiation Oncology Biology Physicsの2006年5月号に掲載された[1] 。

IB期の小型子宮頸癌は、子宮摘出や放射線治療により症例の約90%は治癒する。IB期の巨大子宮癌(4センチ以上)では、手術または放射線療法いずれかの単独治療により治癒するのは症例の70-75%に過ぎない。現在、IB期巨大子宮癌の治療には通常、放射線、外科手術、化学療法などの併用療法が適用される。

GOGによる本臨床試験に携わった研究者らは、高リスクIB期子宮癌患者277人を、子宮全摘出単独群と、子宮全摘出後に骨盤部放射線照射を行う群に無作為に割り付けた。患者全員はリンパ節転移は陰性であったが、複数のリスク悪化因子が存在していた。すなわち、深在性間質浸潤、毛細管リンパ管浸潤, 直径4cm以上の腫瘍である。

本試験の結果は1999年に初めて発表された[2]。 最初の結果では、術後放射線治療を受けた場合の癌再発率は12%で、手術のみでは21%であった。術後放射線の追加により癌再発の可能性が約50%低下した。長期追跡調査後、再発率は放射線照射群で18%に対し、コントロール群では31%であった。腺扁平上皮癌や腺癌では、再発率は放射線照射群で9%、コントロール群で44%であった。死亡率は、放射線照射群で20%、コントロール群で29%であったが、この差異は統計的有意に達しなかった。

コメント

上記データから、高リスクIB期子宮頸癌、特に腺扁平上皮癌や腺癌で、術後放射線療法により再発率が低下したことが明らかである。本臨床試験は、放射線療法に術前化学療法や術後化学療法を追加した臨床試験の基礎となるものである。別の無作為試験では、IB期の巨大子宮頸癌に対し、手術、放射線、プラチノール®化学療法の併用療法が、手術や放射線療法よりも良好な結果が得られた。

参考文献:
[1] Rotman M, Sedlis A, Piedmonte MR, et al. A phase III randomized trial of postoperative pelvic irradiation in stage IB cervical carcinoma with poor prognostic features: Follow-up of a gynecologic oncology group study. International Journal of Radiation Oncology Biology Physics. 2006;65:169-176.
[2] Sedlis A, Bundy BN, Rotman MZ, et al. A randomized trial of pelvic radiation therapy versus no further therapy in selected patients with stage IB carcinoma of the cervix after radical hysterectomy: a Gynecologic Oncology Group Study. Gynecologic Oncology. 1999;73:177-183.
[3] Keys HM, Bundy BN, Stehman FB, et al. Cisplatin, radiation, and adjuvant hysterectomy compared with radiation and adjuvant hysterectomy for bulky stage IB cervical cancer. New England Journal of Medicine . 1999;340:1154-1161.


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翻訳担当者 Chachan

監修 平 栄(放射線腫瘍科)

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