子宮頸癌、腫瘍内の血流量により治療転帰が予測可能
2008年8月
オハイオ州コロンバス – オハイオ州立大学総合がんセンターの研究者らによると、患者の体内の赤血球値と腫瘍内の血流を測定することが、個々の子宮頸癌患者の治療効果を予測するのに役立つということである。
「私たちは、循環血液中の酸素飽和度と個々の腫瘍の脈管構造がいかに相互作用するのかを研究していく必要があります」とジェイムズがん病院およびオハイオ州立大学 Solove Research Instituteの研究者であり放射線医学部長である Nina Mayr医師は話す。「癌の治療効果を高めるには、腫瘍内に血流と十分な酸素が必要です」。
Mayr医師は、この知見を、先ごろロサンゼルスで開催された米国治療放射線腫瘍会議の年次総会で発表した。
「私たちは、磁気共鳴映像(MRI)を用いて、治療中の患者の腫瘍内の実際の血流を調べる方法を考案しました。腫瘍に酸素を運搬する患者の体内の赤血球の数と、腫瘍内の血流の状態を総合すると、治療効果を予測する強力な判断材料になります」とMayr医師は述べる。
研究者らは、子宮頸癌患者66例の放射線および化学療法施行中の全期間においての赤血球値を分析した。さらに、画期的なMRI技術を用いて、個々の患者の腫瘍の血液供給状態を治療期間を通じて調べた。
赤血球値は、放射線および化学療法に対する腫瘍の反応に影響を及ぼすと長い間考えられてきた。赤血球は、へモグロビンを含有し、肺から組織へ酸素を運搬する。子宮頸癌患者においては、赤血球数が少ないと、治療に対する反応が低いという関連がみられ、これは、酸素供給不足により、放射線の殺腫瘍効果を弱めているのであろう。とMayr医師は述べる。
「私たちは、赤血球値と個々の腫瘍の脈管構造の「特性」の両方を分析する必要があることがわかりました」とMayr医師は言う。「赤血球値と血流量のいずれもが高い場合は、患者は治療によく反応し、生存率は91%でした。しかし、両方とも低い場合は、患者の再発率は32%になり、生存率はわずか56%でした」。
患者は、しばしば輸血や赤血球数を増加させる刺激因子を投与されるが、そのような治療法は高価で、つらく、また多少危険を伴うこともある、とオハイオ州Max Morehouse Chair in Cancer Research(Max Morehouse癌研究基金)の受賞者でもあるMayr医師は語る。
「私たちは、個々の患者の治療効果を予測する方法を確立したのかもしれません」とMayr医師は言う。「この新たな方法により、輸血の投与を最も必要としている患者に施し、癌治療をより患者の状態に合わせたものにしていくことができます。また、輸血の必要のない患者に輸血するようなことを避けることができるでしょう」。
本研究には以下のオハイオ州立大学の研究員も参加した。
Jian Wang, Dongqing Zhang, Joseph Montebello, John Grecula, Jeffrey Fowler, Willam Yuh
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