低異形度漿液性卵巣がんの分子特性を包括的に解析

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/01/11】より


低異形度漿液性卵巣がんの包括的な分子プロファイルを解析した研究

低異形度漿液性卵巣がん(LGSOC)は若い女性に多く、化学療法に抵抗性を示すことから、より効率的な治療法の確立が求められている。LGSOCではKRAS/BRAF/NRAS変異が頻繁に認められるが、この疾患に関与する他の潜在的な遺伝子異常についてはほとんど知られていない。Kwong-Kwok Wong博士が率いる研究者らは、予後バイオマーカーや治療標的の候補を特定するために、LGSOCサンプルの包括的な分子特性解析を実施した。LGSOC22検体と漿液性境界卵巣腫瘍6検体について、がん関連遺伝子409個のターゲットシーケンスを実施し、短期および長期生存者(それぞれ40カ月未満および60カ月以上と定義)のLGSOC検体の全ゲノムシーケンスと全プロテオーム解析およびリン酸化プロテオーム解析を実施した。本研究では、短期生存者に多く見られる新規の変異と制御異常のあるタンパク質を発見し、いくつかの治療標的の可能性を明らかにした。詳細はJournal of Translational Medicine誌に掲載されている。

MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/01/11号:術前免疫療法の良好な結果、肺がん治療抵抗性に関する知見、子宮頸がん・乳がん治療の進展などを特集

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、MDアンダーソンの専門家による最近の基礎、トランスレーショナルおよび臨床のがん研究を紹介している。最近の進展は、特定のDNA修復欠損を有する固形がんに対する術前免疫療法の有望な結果、治療抵抗性EGFR変異肺がん対する新しい治療標的、core binding factor 急性骨髄性白血病の予後因子に関する考察、多倍体がん巨細胞内の核分裂に関する新しい知見、再発神経内分泌子宮頸がんにおける3剤併用療法の有用性を示す後ろ向き解析、低異形度漿液性卵巣がんの包括的な分子特性解析、転移性小葉乳がんのさまざまなサブタイプにおける標的療法と内分泌療法の有用性などである。

  • 監訳 石井一夫(計算機統計学/公立諏訪東京理科大学工学部 情報応用工学科)
  • 翻訳担当者 河合加奈
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  • 原文掲載日 2023/01/11

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