FDAが卵巣/卵管/腹膜がんにミルベツキシマブ ソラブタンシンを迅速承認
2022年11月14日、米国食品医薬品局(FDA)は、1~3回の全身治療レジメン歴を有する葉酸受容体α(FRα)陽性プラチナ抵抗性上皮性卵巣がん、卵管がん、または原発性腹膜がんの成人患者に対して、ミルベツキシマブ ソラブタンシン-gynx(販売名:Elahere、ImmunoGen, Inc社)を迅速承認した。ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、抗葉酸受容体α抗体-微小管阻害剤複合体である。投与の対象となる患者は、FDAが承認した検査に基づいて選択される。
また、FDAは本日、上記適応症の患者を選択するコンパニオン診断薬としてVENTANA FOLR1 (FOLR-2.1) RxDxアッセイ (Ventana Medical Systems, Inc.社) を承認した。
有効性は、FRα陽性プラチナ抵抗性上皮性卵巣がん、卵管がん、または原発性腹膜がんの患者106人の単群試験である0417試験(NCT04296890)において評価された。最大で3ラインまでの全身治療を受けたことのある患者が対象となった。また、全例でベバシズマブの投与歴のあることが条件とされた。本試験には、上記のアッセイで腫瘍のFRα発現が陽性であった患者が登録された。角膜障害、継続的な治療を要する眼疾患、グレード2以上の末梢神経障害、または非感染性間質性肺疾患の患者は除外された。
患者は、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで、ミルベツキシマブ ソラブタンシン 6 mg/kg(調整理想体重に基づく)を3週間に1回点滴静注された。腫瘍に対する有効性評価は、最初の36週間は6週間ごと、その後は12週間ごとに行われた。
有効性主要評価項目は、RECIST第1.1版に基づいて試験担当医師が評価した奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)であった。プラチナ抵抗性で、測定可能な病変を有し、1回以上の投与を受けた、有効性評価が可能な患者集団(104人)において、確定ORRは31.7%(95%CI:22.9~41.6)、DOR中央値は6.9カ月(95%CI:5.6~9.7)であった。
特に多くみられた(20%以上)副作用(臨床検査値異常を含む)は、視力障害、疲労、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加、悪心、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加、角膜症、腹痛、リンパ球減少、末梢神経障害、下痢、アルブミン減少、便秘、アルカリホスファターゼ増加、ドライアイ、マグネシウム減少、白血球減少、好中球減少およびヘモグロビン減少であった。添付文書には、眼毒性に関する枠組み警告が記載されている。
ミルベツキシマブ ソラブタンシンの推奨用量は6 mg/kg調整理想体重(AIBW)であり、3週間に1回(21日サイクル)の点滴静注を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで行う。
Elahere の全処方情報はこちらを参照。
監訳:辻村 信一(獣医学・農学博士、メディカルライター)
翻訳担当者 工藤 章子
原文掲載日
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