Phenoxodiol(ドセタキセル増感剤)卵巣癌
注:この文章には卵巣癌に関する詳細な生存率データが含まれています。
2005年1月24日、月曜日
Phenoxodiolは、ドセタキセルへの化学療法抵抗性を低下させる
Marshall Edwards Inc より
http://www.phenoxodiol.com/index04.cfm?section=04&status=1&id=165
Phenoxodiolはドセタキセルの有効性を少なくとも100倍増加させる。
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Phenoxodiolはヒト卵巣癌細胞においてドセタキセルへの化学療法抵抗性を抑制
2005年1月24日、ワシントンD.C. -
臨床試験中の抗癌剤phenoxodiolは、ヒト卵巣癌細胞を死滅させるドセタキセル(商標タキソテール、サノフィ・アヴェンティス社)の効力を実験レベルで大きく増加させる。この研究結果は「Oncology Research」最新号に報告されている(http://tinyurl.com/49nvm、第14号、567~578ページ)。
Phenoxodiolは、卵巣癌における標準的化学療法薬(タキサン系や白金系など)の化学療法増感剤として開発され、現在実施中の多施設共同第Ib/lla臨床試験に参加している再発性卵巣癌罹患女性の放射性画像検査から得た腫瘍測定などに基づき、アメリカ食品医薬品局から迅速承認指定を受けた。
エール大学医学部の研究者らは、標準抗癌剤に奏功しなかった患者から得た癌細胞系を使用した。研究では、こういった細胞は、ドセタキセルを始めとする抗癌剤への抵抗性が非常に強い。Phenoxodiolは、こういった抵抗性細胞におけるドセタキセルへの感受性を回復させることが可能であった。
また、研究者らによると、phenoxodiolの相乗効果は非常に大きく、そのため、phenoxodiolを混合治療薬に加えた場合、ドセタキセルに抵抗性を示した癌細胞に対して、ドセタキセル単一処方時の1/100用量で同等の効果が得られることが判った。
「今回の研究結果は2つの臨床的可能性を示しています。一つは、他の一般的な化学療法薬に対して無反応になった患者にphenoxodiolを使用することで、ドセタキセルへの奏功率を非常に高めることができるという点、そしてもう一つは、phenoxodiolは、臨床反応を得るために必要な化学療法薬の用量を劇的に減らすことができるという点です。後者は、患者が化学療法による有害な副作用に見舞われる可能性が減ることを意味します。」と、エール大学医学部、産科学、婦人科学、生殖科学科準教授のギル・モル医学博士は述べた。
卵巣癌について
卵巣癌は、婦人科系癌では最も致死性が高いもので、米国の女性における癌関連死の原因の5番目にあたる。米国癌学会によると、2005年の米国の新規卵巣癌患者は約22,220人になると見られており、約16,210人が卵巣癌で命を落とすと思われる。70人に1人の女性が卵巣癌を発現し、100人に1人がこの疾患によって死亡するという。高死亡率の原因は、主に疾患の早期発見が難しいためで、患者のほぼ80%は疾患が進行期に入ってから診断されている。また、初期段階で診断される患者の場合も、癌細胞分化の程度により、5年生存率は60~90%である。
卵巣癌の標準的な第一選択治療は、白金系薬剤(シスプラチンやカルボプラチン)あるいはタキサン系(パクリタキセル)、もしくはその併用である。進行性疾患患者におけるこういった療法への奏功率は一般に高く、治療開始時では腫瘍の80~90%が反応を呈する。しかし寛解状態が継続するのはそのうちの10~15%未満にすぎず、それ以外はおよそ18~24月以内に腫瘍の再増殖が認められる。こういった再発症例の多くは化学療法抵抗性であり、ドセタキセル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、トポテカンなどの第二選択治療薬、第三選択治療薬に対して、わずかに限定的反応を示すに過ぎない。
症例の10~20%が化学療法の第一選択薬剤に対してもともと抵抗性を有すること、また、再発症例の大部分が後続療法に対して抵抗性を呈するようになることが、末期卵巣癌の効果的治療における大きなハードルとなっている。
ドセタキセルについて
ドセタキセルはFDAが承認するタキサン系薬剤で、適応は以下のとおりである。
(i)早期ステージの乳癌症例で、白金系化学療法が奏功しなかった局所進行性乳癌または転移性乳癌の治療
(ii)アントラサイクリン系療法後の局所進行性乳癌または転移性乳癌の治療
(iii)非小細胞肺癌の一次治療
(iv)非小細胞肺癌の二次治療(二次治療薬はシスプラチン)
(v)ホルモン抵抗性前立腺癌の治療(プレドニゾンと併用)
ドセタキセルは卵巣癌の化学療法薬剤として研究中である。
再発性卵巣癌または持続性進行卵巣癌症例の治療において、タキサン系や他の薬剤による化学療法を行った後に生じた高い薬剤抵抗性に対し、ドセタキセルは代償療法としてこの薬剤抵抗性に対抗するものである。
Phenoxodiolについて
Phenoxodiolは、現在実施中の第Ib/IIa相臨床試験から放射性画像検査に基づく腫瘍測定を始めとする臨床データの提出後、2004年11月にFDAから迅速承認資格を得ている。同臨床試験は2施設(オーストラリア・メルボルン市のエール・ニューヘーヴン病院(Yale-New Haven Hospital)および王立女子病院(Royal Women’s Hospital))で実施されており、被験者はタキサン系または白金系薬剤に対して抵抗性または難治性を呈する再発性卵巣癌患者の女性である。
Phenoxodiolは、癌細胞における情報伝達系を調節する治験薬で、細胞内タンパクのXIAP(X染色体連鎖性アポトーシス阻害因子)およびFLIP(Fasリガンド阻害タンパク)を分解する。いずれのタンパクも、細胞死受容体メカニズムによる癌細胞のアポトーシス機能を抑止する。こういったタンパクは、正常細胞における偶発的細胞死の予防に不可欠な役割を担う一方、多くの種類の癌において過剰発現が見られ、また、抗癌剤に対する抵抗性の形成にも関与している。
Phenoxodiolは、癌細胞に限定した相互作用を有する腫瘍特異的NADHオキシダーゼにより、腫瘍細胞に選択的に機能する。現在までの臨床試験では、有意な薬剤性副作用は認められていない。Phenoxodiolは治験薬であり、従って米国での販売は承認されていない。
翻訳担当者 Snowberry 野中希
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